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マンジョッカ焼酎も楽しんだ見学ツアー=商議所会員ら60人が参加

2005年11月30日(水)

 ブラジル日本商工会議所の会員ら約六十人が十九日、サンパウロ市近郊モジ・ダス・クルーゼス市を訪問。国の文化財に指定されている和風木造建築の元製茶工場「カザロン・ド・シャ」や、プロポリス製造販売のMNプロポリスグループ工場施設を見学した。
 現在改修工事中のカザロン―は第二次大戦中、お茶の生産拡大のため建設され、六〇年代まで使われていた。日本から来た大工が設計施工した木造軸組み工法の建築だ。
 出迎えた保存協会代表の中谷哲昇さんは「ブラジル、そしてこの国にあったヨーロッパの建築技術を学んで織り交ぜながら出来たもの」と語り、「日本のコピーではない。典型的な移民の建築だ」と強調、当面続く見込みの改修工事への支援を訴えた。
 また、現場監督で建築士の中尾哲也さん(34、兵庫)は外観に目が奪われがちだが、「木材を水に濡らして使うことによってシミがつきにくい、割れにくくなるなどの効果がある。そうした下準備を施していることにも注目して欲しい」。一行はうなずきながら熱心に説明を聞いていた。
 次いで訪ねたのはプロポリスで有名なМNグループの工場施設。見学を前に、松田典仁社長がミニ講演した。
 トランク一つで移民してきて、二十三年前に始めた現在の事業のモットーを「すき間産業。ヨソがやっていないものをやる」。プロポリスは「この近郊で二百ほどの業者がある。うちのは高いけど品質に自信がある」と語った。
 また、引退宣言も飛び出した。「二年後には辞める。そしたら(日系老人ホームの)『憩いの園』に貢献したい。先輩移民なしに自分はあり得ないから」。一方で、「モジの街起こしにも協力するつもり」と威勢のいい口調で語り、感心を誘っていた。
 千三百五十ヘクタールの養蜂場は工場から約八十キロ離れ、業界初のオーガニック認定を受けている。そこでプロポリスの原塊やハチミツが採れる。その加工を行なう施設や、新設したばかりの食品分析センター、発売が期待される「マンジョッカ芋焼酎」の生産現場を一行は巡覧した。
 オーガニックのマンジョッカ芋を原料に開発された焼酎について、松田社長は本紙の取材に対し、「構想五年。鹿児島県のトップブランド『海童』を造る濱田酒造にうちから実習に行き、学んだ本格派。農務省の許可は出ている。あとは大統領のサインを待つだけ」と語った。
 予定より許可が遅れている理由は、「カシャッサではなく、ショウチュウで申請しているため」。
 世界初のマンジョッカ焼酎の特徴はまろやかな香りと上品な口当たりで、すでに日本からコンテナ単位での注文もきているという。
 一行は施設内に用意されたシュラスコで昼食。また、同社の製品販売コーナーも設けられ、家族連れで参加していた三十代の大手銀行勤務の男性は焼酎五本を購入。「レモンを入れて毎日でも飲みたい。いいお土産になった」と笑顔で話していた。