2005年12月01日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】サンパウロ州検察は二十九日、国内犯罪史上最大の外国不法入国あっせん組織を摘発、三十人を検挙して起訴した。三人は動きを事前に察知し逃亡中。一味はアメリカへの不法入国を専門にあっせんすることから、北米大陸に生息するオオカミの一種のコヨーテにちなんでコヨーテ組織と呼ばれ、暗躍していた。
ミスナ・ジェライス州に本拠を置き、サンパウロやリオデジャネイロ、パラナ州の支店を通じ、年間三千五百人をアメリカに不法入国させて月間三〇〇万ドルの荒稼ぎをしていた。あっせん料は一人一万ドルで、中には家や土地を担保にしたり、所持金がない場合は組織が監視して払い終わるまでアメリカで奴隷のような生活を強いられた人もいた。
またアメリカへの潜入がメキシコ経由で陸路砂漠を通過するため、事故による死亡者が多数出ている。また不運にも国境パトロールに拘束された人々はブラジルへの強制送還となったが、コヨーテ組織に支払った金は戻って来ず、丸裸になった人も多数出た。
サンパウロ州当局は連警の協力のもと、一年間の内偵で百数時間に及ぶ電話盗聴などにより立件にこぎつけた。これにはアメリカのシークレットサービスの係官も協力し、逮捕に立ち会った。また、州法務局の特別許可のもとに、オトリ捜査官の偽造身分証明書を発行して不法入国者の一人に仕立てた潜入させた。同捜査官は、メキシコまで一味に随行し犯罪の手口を実証した。
コヨーテ組織の本拠地はミスナ州ゴベルナドル・ヴァダレス市で、主犯格は家族ぐるみで旅行代理店を経営し、裏であっせん業にいそしんでいた。調べによるとこれまでに三万人以上が渡米しており、市の経済に影響を及ぼして社会問題に発展している。また強制送還された人々が、主犯格に金の返済を求めるなどのゴダゴダだが続いている。主犯格は逮捕された。
さらに、サンパウロ州クンビッカ空港で各地から集結してくる不法渡航者を組織の所有の家やホテルに分宿させ、メキシコ便へ搭乗させていた実行犯の女性も逮捕された。この女性はアメリカでも不法就労あっせんの罪でお尋ね者となっていた。オトリ捜査官によると、メキシコの空港では一味の者が出迎えてアメリカ潜入の段取りを説明したという。
いっぽうで、サンパウロ州サンカエターノ・ド・スル市ではアキフという名の日系人らしき男が逮捕された。男は偽造クレジットカードを作成、不法渡航者らの航空料金を支払っていた。さらにこのカードでアメリカ国内で買物をしてパラグアイに送り、さらに密輸して組織の資金にしていた。