2005年12月03日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】中央銀行の通貨政策委員会(COPOM)が現行の通貨政策続行を宣言し、基本金利の大幅引き下げがないことを示唆した議事録を発表したことで、パロッシ財務相は一日、COPOMによるインフレ対策の妥当性を弁護したが、通貨政策は今後見直すとの声明を発表した。第3・四半期の国内総生産(GDP)一・二%低下は高金利が原因であるとする意見に対し、消費者物価の上昇圧力は常に存在し、金利水準は不当ではないと述べた。第3・四半期の落ち込みは第4・四半期に回復する、恒例の推移だから驚くことではないとした。
基本金利(SELIC)の大幅引き下げがあるとすれば、二〇〇六年三月ごろと市場関係者が予測している。〇六年第1・四半期に大きなGDPの低下が予想されるからという。議事録では、産業界が設備投資を第2・四半期に先送りする傾向があると予測した。
〇六年の経済成長率は、三・五%内外という見方が多い。実質経済成長率は三%で、〇五年の余波が〇・五%とみている。金利の引き下げはCOPOMのいう通り、十二月に〇・五%下げる。二月はCOPOMがないので、一月に思い切って〇・七五%下げると踏んでいる。もしも年末にGDPの回復がないなら、COPOMは一月にSELICを〇・七五%下げる可能性は大きい。
COPOMは、ブラジル地理統計院(IBGE)のGDP発表は臨時速報であって、修正されるとみている。COPOMは景気の冷え込みを否定し、過去二年半で最高のGDP一・二%の落ち込みはIBGEの計算ミスだとしている。中銀はGDP落ち込みの元凶を高金利とする産業界の見方に反発し、原因は農業不振と政治危機にあると反論した。
ルーラ大統領は、IBGEのGDP前期比一・二%落ち込み発表を深刻に受け止めた。大統領は、政治危機の影響と、生産と消費に与えた基本金利の効果を見直す必要があるという。政権運営の右腕ジルセウ元下議を失い、大統領は沈痛な気分で産業開発審議会(CDES)に出席した。
大統領は席上、マクロ政策の見直しを公約した。CDESは医学と同様、患者を手術するなら、医師は精密検査が必要だと述べた。それなくして手術をするのは危険である。第4・四半期には経済の健康状態が明らかになる。為替政策が輸出促進に貢献しなかったことで、金利政策の見直しを大統領は促した。
GDPの落ち込みは、ブラジル経済の黄信号だと大統領はいう。事業家が設備投資をしないのは、政治危機と高金利が原因だとした。一日のCDESにおけるテーマは対外通商政策であったが、スカフサンパウロ州工連(FIESP)会長のマクロ政策とブラジルで進行する工業の空洞化批判で、議題が急きょ変更された。
同会長は、三点で経済政策の「非」を指摘した。一、第3・四半期のGDP低下は、〇六年に景気が低迷する予告である。二、経済政策見直しは急務である。三、〇六年は選挙のため政策不在の年である。政府は下らないことに奔走し、来る四年間を凶作にする。