2005年12月03日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】リオデジャネイロ市で二十九日夜に発生したバス焼き打ちで五人が死亡、十二人が重軽傷を負った事件で、同市最大の犯罪組織コマンド・ヴェルメーリョが警察の捜査に先駆けて犯人四人を殺害し血の粛清を行った。四人のうち二人はバスの中でガソリンをふりまいて火を放った実行犯、うち一人は乗客に直接まいた主犯格で、乗客だった被害者が人相を確認した。
殺害された四人は、バス焼き打ち事件があった同市北部ペーニャ区の現場から八〇〇メートル離れた路上に放置されたメリヴェ車の中で一日未明に発見された。発見直前に捜査当局に電話でコマンド・ヴェルメーリョを名乗る犯行声明が出されていた。また発見された車体には「焼き打ち犯人らだ。悪には悪の正道(?)がある。我々はテロリズムを容認しない」と書かれた、コマンド・ヴェルメーリョの署名入りの大きな張り紙が張られていた。
いっぽうで当局は焼き打ちに加わった十人のうち女二人を含む八人の身許を割り出し指名手配した。うち一人は一日逮捕され、被害者が犯人の一人と断定した。このグループは焼き打ち現場付近のファベーラのモーロ・ダ・フェ―を根城とする少数麻薬組織で、二十九日に警官隊と撃ち合いを演じ、仲間一人が射殺されている。焼き打ちはその報傷手段だった。
また麻薬取引でコマンド・ヴェルメーリョと敵対しており、そのために放置された四人は見せしめに殺害されたと警察はみている。焼き打ち事件の犯人とはいえ、殺人は殺人事件としてコマンド・ヴェルメーリョ内の殺害実行犯を追及していく姿勢を示している。