2005年12月06日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】サンパウロ州検察局は三日、ジルセウ前官房長官が議員権喪失で最高裁においてしか裁かれないという議員特権も失ったことから、セウソ・ダニエル前市長殺害事件の証人として召喚することを決めた。二〇〇二年一月に殺害されたサント・アンドレ市の前市長市政下に構築されたリベート・システムで、前長官に資金受取人の疑惑がある。故市長の実兄ジョアン・フランシスコ氏の証言では、当時市長側近で現在大統領秘書室長を務めるカルヴァーリョ氏から前官房長官が一二〇万レアルを受け取り、大統領選の選挙資金に使用したという。
議員特権の壁が取り払われたことでサンパウロ州検察局は、サント・アンドレ市のリベート・システムとの関わりを解明するため、前官房長官を証人として召喚することにした。
セウソ・ダニエル前市長は〇二年一月十八日に拉致され、二日後に射殺、サンパウロ市郊外ジュキチバの村道で遺体となって発見された。実兄は事件の三カ月後、前市長が大統領選への資金捻出システムの存在を知ったため消されたとサンパウロ州検察局へ告発した。
実兄は前市長の死が口封じであると強調し、前官房長官が資金の受取責任者であると訴えた。前長官への運び屋は現大統領秘書室長だという。検察局は召喚日を決めていないが、実兄の証言を金額と日時で実証するとしている。実兄は前官房長官がシステム解明のキーではないが、疑惑の渦中にある人物とした。
検察局は、資金の使途解明で収穫があるとみている。検察局が前官房長官を追及し、煮え湯を呑まされたことは再々ある。マレイ検察局長官は〇二年六月、ブリンデイロ検事総長に掛け合い、前官房長官に対する捜査を試みた。捜査許可申請書は最高裁へ回されたが、ジョビン長官が議員特権を理由に却下した。
サンパウロ州検察局は、事件が政治に根ざす刑事犯罪であることを強調した。その後、数々の政治絡みの刑事事件はビンゴCPI(議会調査委員会)が扱うことになった。カンピーナス市のトニーニョ市長殺害事件も、CPIが調査に乗り出した。
一方で市警は、セウソ・ダニエル前市長の事件を一般の殺人事件と断定したが、アウキミンサンパウロ州知事の要請で再捜査に入った。市警のサトウ捜査本部長は再捜査の結果、同事件を殺人教唆によるものと断定した。
前官房長官の弁護士は、サンパウロ州検察局が議員特権喪失を先に知っていることが、不自然であると指摘した。検察局が前官房長官に召喚の意向を伺うのが先決で、順序が逆だと抗議した。マスコミに召喚を発表した後に手続きを行うのは司法の邪道だという。
学生運動の大会に招かれた前官房長官が、サント・アンドレ事件で召喚されるのはサンパウロ州検察局ではなく、ビンゴCPIではないかと述べた。ビンゴCPIも検察局も殺害事件で疑惑捜査が前下議に及ぶのは、違法であり、双方の役目ではないと違法性を糾弾した。
事件解明のための捜査と犯人の処罰は必要だが、政治問題にすりかえるのは卑怯だという。政治犯罪説には根拠がなく、PTを犯罪組織に陥れようとする右翼の陰謀だと元下議が非難した。