2005年12月06日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】第3・四半期の国内総生産(GDP)が前期対比一・二%のマイナス成長となったことを受けてルーラ大統領は、「心配するに及ばず」との立場を強調した。またブラジルは病体に陥ったとする一部の批判に対しては、杞憂に過ぎぬと悲観論を一蹴した上で、我国は従来まれに見る健康体を保持しており、経済成長は持続するとの立場を強調した。
大統領は二日午前、サンパウロ市内で二十八カ国の投資家が参加した投資セミナーで講演し、執政三年で打ち立てた経済政策は効果を挙げており、今後も踏襲していくとの方針を示し、来年の大統領選挙に向けての人気取り政策を行う気は毛頭ないとして、政策は不変だとの態度を強調した。これに対し、国内有力企業も賛同、一様に一時的現象と受け止めているとの見方を示した。
さらに大統領は同日午後、サント・アンドレ市で実施された電話会社の技術センター開所式でも同じ問題に触れ、携帯電話が二〇億ドルの輸出産業に発展したことを強調した上で、今年の輸出は政府目標の一二〇〇億ドルをほぼ達成しており、来年は一五〇〇億ドルを目標に揚げるとして、さらなる経済成長にまい進するとの抱負を述べた。ただし過大な期待は禁物で、その国の実情に合った成長が必要だとし、中国や米国などと比較する筋合のものではないと釘をさした。
いっぽうでパロッシ財務相は、GDPのマイナス成長を発表したブラジル地理統計院(IBGE)の算出方法に技術的な疑問点があると指摘、とくに農産物の生産は単年ではなく複数年のグローバル見地に立つ必要があるとして、また国民総所得や需要増、工業製品の在庫や生産動向も加味する必要があるとの見解を示した。しかし第3・四半期はあくまでも一時的現象であり、第4・四半期では経済成長の兆候が表れていることを強調した。
さらに経済政策は誤っていないとして、通貨政策委員会(COPOM)も金利引き下げの意向を表明しており、当面変更はないと確信すると述べた。また中銀もインフレ抑制という大義名分を果しており、政策は正当だと評価した。この効果が史上最低のカントリーリスクとなって表れたと指摘している。