2005年12月06日(火)
ブラジル日本文化協会評議員会(大原毅会長)は第百二十九回定期評議員会を三日午前十時から、文協ビル十三、四号会議室で開いた。四十人(委任状十三)が出席した。当初の約六万レアルから一万レアルが上乗せされた赤字予算案に関して紛糾する場面もあったが、来年の総会までの調整を条件に承認。文協の現資産が約二十五%目減りしていることも指摘された。
評議員の多くから赤字予算について、疑問の声が上がった。予算案、事業案のどちらを先に審議するか、などといった意見の相違が見られるなど異例の評議員会の始まりとなった。
承認は予算案の検討後に行うことを条件に、文協理事会の関根隆範副会長が事業案を発表。ポ語で武用サムエル企画予算担当理事が説明した。
原沢和夫評議員が白寿表彰式にコロニア最高齢者を招待することなどを事業案に盛りこむことを提案、承認された。
横田パウロ評議員は「文化団体が福祉事業をするのはどうか」と首を傾げ、自らが理事長を務めるサンタクルス病院でも「デカセギ帰国者に対する事業をすでに行っている」とした。
「他団体が行っていない福祉事業をしては」との折衷案も出るなか、関根副会長は追徴金なども含め、四百万レアルに膨れ上がっているINSS問題解決のためには、「連邦政府の福祉団体登録が必要」と説明。
これに対し、横田氏は「非常に難しいのでは。評議員にもいる弁護士などと相談してはどうか」とし、大原会長は再考の余地ありの考えを示した。
赤字予算に関して、予算案を作成した武用理事は「収入に関しては最低限を考えた。黒字を出すのだけがいいとは思わない」と前置き、約四万六千レアルの赤字が計上されている広報委員会は会報「コロニア」の経費、史料館(約九万七千レアルの赤字)はアリアンサからの賃貸収入がなくなったことをとその理由とした。
図書委員も務める五十嵐司評議員は同委員会(約二万一千レアルの赤字)の事業案から毎年行われている「図書即売会」の削除を求め、中止を宣言。赤字予算に一万レアルが上乗せされることを確認した。
小山昭朗評議員は「赤字予算は生まれて初めてみた。予算収入に関して積極性が全くみられない」と強い口調で批判。会員拡充委員会の予算がゼロであることを疑問とし、「広報と文協ネットの両委員会を統合すべき」とした。
下本八郎評議員は「INSS問題は法的より政治的解決の方が現実的」と話し、「文協五十周年事業の奉加帳に記帳された七万レアルも予算に計上していいのでは」と提案した。
非難の矢面に立った武用理事の「予算案は支出を中心に考えている。これが事実」などといった赤字予算を肯定する発言に、イタペチの尾崎守評議員は「赤字予算案を出すこと自体が非常識」と指弾、「会としては広報に力を入れるべき」と強く訴えた。
高田フェルナンド評議員は「企画投資委員会は存在していながら、収入、支出ともにゼロなのは何故か?そもそも投資は必要なのか」「会員拡充委員会の〇五年度の予算が六万五千レアルなのに対し、収入実績が六十九レアルなのはどうしてか」などといった予算案の具体的な説明を要求。
河内正光前会計担当理事が「文協の現資産が百万レアルあったものが今年になって、七十万レアルに目減りしている」と指摘。これらの問題に関して武用理事の回答はなかった。
予算案を見送るべきとの意見もでたが、出席評議員二十一票の過半数で承認、来年の総会までに調整されることが確認された。