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経済中心に幅広い議論=21世紀協議会=リオで初会合=交流年についても=記念事業「箱物は難しい」

2005年12月07日(水)

 将来の日伯関係について両国の有識者が意見を交換する日伯二十一世紀協議会の第一回会合が十一月二十四、二十五の両日、リオ州工業連盟本部で開かれた。はじめての今会合では、〇八年の日伯交流年に伴う両国の交流事業、日伯経済の再活性化、日本におけるデカセギ問題など、幅広いテーマが取り上げられた。翌二十六日にはサンパウロ市で百周年祭典協会の主要メンバーと、日本の外務省官僚らと会合がもたれ「箱物(建物)は難しい」の見解が再確認された。
 二日の定例会見で概要を説明した西林万寿夫在聖総領事によれば、同協議会には両国のメンバーが出席したほか、ペトロブラスやセニブラ、バーレ・ド・リオドッセなど錚々たるブラジル企業代表者、両国の外務省担当者もオブザーバーとして参加したという。
 出席メンバーの一人、横田パウロ元中央銀行理事は「日本側とざっくばらんな話ができて、大変参考になった。五十年ぐらい日本との交渉に関係しているが、こんなことは初めての経験だった」と会合の雰囲気を振り返った。
 その中で、日系コロニアに偏らない、日伯両国民の一般レベルに訴えるような、広い交流年行事や事業について主に議論していく基本的方向性が確認された。日本側からは、交流事業はできるだけ民間の資金を使って行い、政府からの大きな支出は難しいだろうとの見解も出された。
 開催中の伯仏交流年事業を参考にし、予算を分かち合う形で準備を進める方向性が出された。
 日伯交流年について会合では、国会議員や青少年、地方自治体などの人的な交流のほか、メディアを通じた両国のイメージ改善、科学技術協力の活性化について話し合われた。
 主にブラジル側から意見がだされた経済の再活性化については、エタノールなどバイオ燃料の対日輸出や地球温暖化ガスの排出権取引の問題、日伯EPA(経済連携)交渉などが議題に上った。このほか、JBICを通じた日本からの融資の重要性にも触れた。
 「今まで日本はファイナンス(金融)への関心が強かったが、今回は『モノ作り』への重要性を双方が再認識した」との変化を分析する。ブラジルから持っていく技術、多様な生物資源などを俎上にのせるような議論が進められそうだ。
 デカセギの問題については日本側メンバーから、教育や医療など、在日ブラジル人社会が直面する問題を紹介。ブラジル側メンバーにデカセギ事情を伝える機会になったようだ。
 同協議会は来年八月をめどに両国首脳に報告書を提出することになっている。来年七月ごろまでに東京で二度目の会合が開かれ、最終的な報告がまとめられる見通しだ。
 また、翌日行われた祭典協会の上原幸啓理事長、渡部和夫顧問、柳沼啓太郎総務委員長らと日本外務省官僚との会合では、コロニアの百年祭と、日伯交流年はまったく違うものだとの認識が示された。日本政府は緊縮財政を進めており、「箱物」への多額な支出は事実上難しいとの方向性が再び明らかにされた模様。現在四つある記念事業を、早急にどう絞っていくかが今後の課題となりそうだ。