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帝王切開は6倍も危険=WHO=自然分娩の再評価を=分娩の40%超、世界で2番目=妊婦より医師が望む

2005年12月09日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】帝王切開による分娩が国内で四〇%を超えて、世界ではチリに次ぐ二番目になったことで、世界保健機構(WHO)は母子の死亡率が高まる危険性があるとして警鐘を鳴らしている。通常、手術による出産は安全と思われがちだが、WHOによると、自然分娩に比し、危険性が六倍高いという。自然分娩は苦痛の中で十五時間以上の時間を費やすが、手術だと二十分で終わるため増加傾向にあるが、これは高い経費が必要なことから病院や医師の打算も背景にある。WHOは、手術は母子に生命の危険が生じた場合の最後の手段であり、出産の一五%どまりが最低線だと線引きしている。
 リオデジャネイロ市で三日まで開催された、出産に関する国際学会でWHO代表は、ブラジルでは手術による出産の増加が加速しており、その分死亡する確率も高まっているとして、自然分娩を再評価すべきだとの提言を行った。さらに経験を積んだ医師が妊娠した時点から診察して胎児の成長を見守った上で、設備の整った病院で手術を行うならともかく、予備診察も不十分なうちに執刀する危険性が高いとしている。
 都市部では出産の際に十万人当り七十四人が直後に死亡しており、農村部の六十九人よりも多いのはこれが原因だと指摘している。さらに自然分娩だと十五時間以上要するが、手術だと二十分で終わるため、医師は暇ができる夜間や週末に手術する傾向にある。とくに個人病院でこの傾向が強く、出産の九〇%以上が手術によるものとなっている。これが改善されると、これまでに死亡した母子の九二%以上は死を防げたはずだとしている。
 さらに手術による出産では、えてして成熟する前に胎児を取り出すことがあり、抵抗力がなく死亡、あるいは病弱となるケースが多い。この場合に子供は高血圧、出血、流産、化膿の症状がでる。いっぽうで母親も麻酔の副作用、院内感染、内臓破損、化膿などのリスクがともなう。
 フランスで水中分娩を考案し実践している産科の権威のオデント博士は学会で講演し、満を持した胎児を自然分娩することが母子の健康につながるとして、ブラジルの産科医の考え方を洗脳するのが先決だと語った。
 「ブラジル人は手術による危険性を認知し、自然分娩のキャンペーンを展開すべき」だと主張するのは、今回の学会の名誉総裁で、WHOのコンサルタントでデンマーク人のワグナー博士だ。その博士との一問一答は次の通り。
▼何故ブラジルは世界で二番目なのか?
―ブラジルには何度も来ているが、当初医者は妊婦が性器を新婚当時のままで保持したいために自然分娩を嫌ったと説明していたが、調査により医師が勧めていたことが判明した。医師は十二時間の分娩に立ち会うよりも二十分の手術で済ませ、また多額の金も手に入るからだ。
▼手術による出産の問題点は?
―手術が安全だと思うのは間違っている。手術は三倍から六倍死の危険性がある。
▼何故、自然分娩なのか?
―出産は病気ではない。その故に手術は必要ではない。最悪の場合のリスクは一〇%以下だ。