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漂流船の政府、国民に無力感=開発相が辛口批判=無為無策は第3の政治危機=06年度目標を示せ

2005年12月14日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】政府機能が死に体状態にあるため、しびれを切らしたフルラン産業開発相は滞在先の香港で十二日、政府は二〇〇六年度の政治目標も具体策も方法も設定せずあたかも漂流船のようであり、国民の間に無力感が忍び寄りつつあると声明を発表した。政府の優柔不断は国民のやる気を殺ぎ、産業界の決断を鈍らせていると語った。ルーラ大統領の次期大統領選への再出馬は、門外漢なので何もコメントをしない。しかし、政府は政治危機で泥沼に足を取られて動けないわけではないと、楽観的見解を示した。
 大統領から「セールスマン」のニックネームを貰った同相は、生粋の産業人で通商交渉のオーソリティである。輝ける経歴をかわれて閣僚に起用された同相は、これまで政府批判をしたことがなかった。しかし、国民のモラルが危機的状態に達しつつあることを憂慮して警告した。
 同相の見方では、政府が高金利と財政黒字をめぐって労働者党(PT)執行部と党内左派の挟み打ちに合っているという。同相の声明は、産業部門の声を代表して政府批判の上乗せになった。
 近年の飛躍的輸出の伸びは、民間活力の成果である。いま政府の機能停止が民間活力に水を差しているというのだ。同相は、政府機関に浸透した汚職システムの弊害という見方を否定した。それは見解の相違であって、政府機能の障害ではないという。
 PT政権下、ブラジルは大きなビジネス・チャンスに恵まれているのに、無気力感にさいなまれた政治が無為無策で頓挫している。PT政権における第三の危機と同相は名づけた。第一はワウドミーロ・ジニス危機。第二はジェフェルソン危機。そして今回の政治危機という見方。
 パロッシ財務相については、留任を支持した。十九日開催予定の閣議で、〇六年度の経済成長率を明示するよう同相は求めた。それなくして産業部門は、事業計画の立案ができない。公社は前進ギアが入らない。経済成長率で経済政策と輸出政策が動き出すとみている。
 同相は、基本金利と為替について次のように述べた。〇六年も輸出は伸びるが、〇五年より低調になる。年間で一二〇〇億ドル少々とみている。〇五年の目標は一一七〇億ドルで既に達成したが、〇六年の見通しが心配だという。
 ブラジル輸出品目の五六%は工業製品であるが、〇六年はその割合が減るとみている。利益の大きい工業製品が減り、利益の少ない農産物や鉱産物が増える。為替環境の変化も心配である。高金利と為替差損のダブルミックスが、手間を要する製品を輸出する企業の負担になる。
 高金利は、国内市場に影響する。国内市場は輸出の予備軍で、輸出の悩みを解消するクッションであるから、国内市場を充実しないと輸出ははしごを外されるようなものだ。その国内需要を高金利が打ち壊した。
 同相がもしもコンサルタントならば、働くよりも金利で儲けなさいと勧めるという。WTO閣僚会議でブラジルが有利な条約を締結できないなら、金利の道があると同相は皮肉った。