2005年12月14日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】香港が十二日、第六回世界貿易機関(WTO)閣僚会議の舞台になる。加盟国百五十カ国の閣僚が集まって、限界にある南北格差の突破口を見出すため、ドーハ・ラウンドの決着をつける戦場になりそうだと、サワヤ・ジャンク教授が指摘した。
今回の香港会議が先進国の食糧安保に揺さぶりを掛け、内堀を埋めるか否かの最後通牒になるからだ。農産物を機関車として、それに続く工業製品やサービス、通商ルールが貨車である。機関車が動かなければ貨車も動かない。
G7やG10、G20など各グループの提案は、合意には程遠い。香港会議も見るべき成果がないなら、二〇〇六年末までに締結を予定しているドーハ条約も国際協定もコケになる恐れがあり、避けては通れない道となっている。条約のガンが農産物である。
ブラジルはG20の代表であり、途上国の声なき声の代弁者として、その双肩に農産物問題の重い責任がのしかかっている。ブラジルが挑戦するのは、国際市場への参入と農業補助金、補助金の見返りなど。
農産物の関税率は、工業製品のそれより高率という日欧米案のハードルがある。農業補助金の削減は国際市場のみならず、各国の国内市場にも適用される。農産物は関税よりも複雑な問題が絡み、一筋縄では行かない。ブラジルが特産とする農産物は、どれも戦略物資であるからだ。
WTOは、補助金削減問題で頼りになる唯一の国際機関。日欧米の先進国が採用している補助金制度は政治決着でなく、抜本改革がブラジルの悲願である。これまでは地域協定や二国間協定でお茶を濁してきたが、一括協定の国際協定にしようというのだ。
まず補助金を六〇%カットする案が日欧米から出た。または特別扱い品として割当制の提案もある。農産物ではブラジルは孤軍奮闘して二十年、農産物問題の国際的エキスパートになった。農産物補助金でブラジルは茨の道を歩いたが、屈辱的条約を締結するよりは時間がかかっても有利な条約にこぎ付けたほうがよいと応援の声がある。