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セーラサンパウロ市長、一次選でトップ=大統領選=初めて大統領を抜く=経済の好転、再選に結ばず=課題はPSDBの候補者調整

2005年12月16日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】来年の大統領選出馬予定者の支持率調査を行った調査会社CNI/Ibopeは十四日、第一次選挙でセーラサンパウロ市長(ブラジル社会民主党=PSDB)が三七%と、ルーラ大統領(労働者党=PT)の三一%を追い抜いてトップに立った結果を発表した。現政権の発足以来、セーラサンパウロ市長が第一次選挙でトップに躍り出たのは初めて。一方、ダッタフォーリャ社も、セーラ三六%にルーラ二九%とする調査結果を発表。決選投票の模擬調査では、セーラ四八%にルーラ三五%。アウキミンサンパウロ州知事が立候補すると第一次選挙は、ルーラ三二%にアウキミン二〇%となっている。
 調査は十二月三日から七日まで全国百四十三都市で二千人の有権者を対象に行われた。現政権の発足以来、セーラサンパウロ市長が支持率で初めてトップに躍り出た。六ポイント差は、誤差二ポイントをも裕に超えている。決選にもつれ込んだとして、セーラが四八%にルーラ三五%と一三ポイントの差をつけている。
 調査結果では一連の汚職告発で大統領の行政評価が下げたものの、政府の評価は横ばい。しかし、大統領個人に対する国民の信頼は下がり続け、ルーラ神話の陰りが伺える。大統領の行政能力は合格四二%、失格が五二%。大統領への信頼は信じるが四三%、不信が五三%。政府の評価は良いと大変良いが二九%、普通が三七%、悪いと最低が三二%となった。
 年末の調査は祭り気分も手伝うが、二〇〇五年を良い年、大変良い年と答えた楽観的評価は九月の六〇%から十二月に六六%へ上がった。〇六年は良い年、大変良い年とした者が九月の六三%から八二%へ増えた。国民は経済の好転に肯定的だが、大統領の再選には否定的のようだ。
 有権者は大統領への信頼を失いつつある。経済は産業の活力に任せ、経済成長の妨げとなる政府は後へ引くよう考えている。ルーラの票田はセーラへ譲られたようだ。その現象は、生活扶助金を受給する一最低賃金以下の低所得層にも見られる。セーラ支持三七%、ルーラ支持三五%となっている。
 地域別に見ると、セーラサンパウロ市長は三三%対四二%とルーラ大統領に北東部で敗れただけである。労働者党(PT)の地盤とされた南部はセーラが六〇%、ルーラ二五%で判然としている。決選で見るとセーラは九〇%だ。〇二年の選挙でルーラが五四%を占めた場所だ。ルーラ大統領の支持者の三二%がセーラ市長へ転向したことになる。
 支持率の好転に満足の意を示したセーラサンパウロ市長は、大統領選へ意欲を見せるアウキミンサンパウロ州知事の手前、群雄割拠するPSDB党内の調整に心を砕くことになった。まずは党内の票割れを防ぎ、結束を優先すると同市長は述べた。
 前回の大統領選挙で苦杯を呑んだ同市長は、公人として社会から認められることほど嬉しいことはないと顔をほころばせた。しかし党公認を得るまでは、時が熟すための長い道のりがある。同じく大統領選に意欲を燃やし、しん吟するジェレサッチ上議は調子に乗って失敗しないよう自重を促した。