2005年12月16日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】十四日に行われた通貨政策委員会(COPOM)の月例会で、基本金利(SELIC)の引き下げを決定したのを受けて中銀は同日、SELICを年一八%にすると発表した。前月比〇・五ポイントの引き下げで、過去四カ月間連続で下げたものの、金融界や産業界ではより大幅な引き下げを期待していただけに、大きな失望と落胆とともに批判が渦巻いている。
COPOM内部でもこれまでの会議ではすべて満場一致の決定だったのに反し、今回はメンバー八人のうち二人が〇・七五%を主張したが、他が〇・五%に固執して結局多数決で決定した経緯があり、COPOM内部でも意見の対立があったことを示した。これにより会議はかつてなかった三時間という長丁場になった。中銀発表でもこれに触れ、COPOM議事録発表以前に二人が〇・七五%引き下げを主張したとする具体的な内容を初めて公表した。
金融界でも最低〇・七五%の引き下げがあるとの大筋の見方を裏切られた形となり、COPOMおよび中銀の、インフレ抑制しか念頭にない金利政策は独断専行を通り越して一般の声に対して意固地になっていると指摘している。これにより世界最高率の金利高を招き、故に世界の投資が流入してドル高となり、これが経済不況を招く結果になっていると決めつけた。
また第3・四半期で国内総生産(GDP)が一・二%のマイナス成長になったのは中銀の意固地な態度による金利の不透明な部分が産業界に与えた影響によるものだとして、責任は中銀の金利政策の優柔不断にあると糾弾している。ただこの中で、今後の明るい材料として、今回の会議で少数派の二人とはいえ、市場の声を反映して〇・七五%の引き下げを主張した良識派が台頭したことは歓迎に値するとして、来月以降の決定は期待できるとの見方をしている。
サンパウロ州の工業、商業界も同様の非難を表明している。サンパウロ州工業センター(CIESP)のタバコフ会長は「クリスマスプレゼントは来年に持ち越された」とした上で、「二〇〇五年は中銀のせいでドル安を招き工業部門の成長が止まった。中銀が経済成長の芽を摘み取った歴史的な年になるだろう」とのコメントを発表した。
全国工業連盟も経済を無視した金利政策だと非難、サンパウロ州工業連盟のスカフ会長は「めでたさも中位のクリスマス」と評した。サンパウロ州商業連盟では金利高で小売の販売が伸びず、工場への注文が減り、ひいては工業生産の減少につながると語った。全国労組のフォルサ・シンジカルも金利による経済不況で、労働者の給与調整などの所得上昇にかげりが出るとして、中銀批判を強めている。いっぽう、国会でも野党から中銀批判が続出、今後中銀の責任を追及していく動きが広まっている。