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高級マンション強盗急増=収穫多く低リスク=あの手この手で侵入企て=正直に被害額申告しない住民

2005年12月16日(金)

 【ヴェージャ・サンパウロ誌十一月三十日】サンパウロ市内の高級マンションを狙った専門犯罪組織による集団強盗事件が急増、流行の兆しを見せている。グループは十人から十五人で、一度で複数の部屋を襲うことで多額の「収穫」を得ることができ、逮捕されるリスクも少ないことが急増の原因となっている。マンション側でも警備を入念にしているが、犯罪組織はこれを上回る用意周倒な計画のもと、手口が巧妙になっている。最近では狙ったマンションに侵入するために隣接する民家を襲う手口も急増している。
 マンション強盗は昨年始めから流行し、今では定番となって実入りの多い犯罪の一つにのし上がった。サンパウロ州保安局によると、今年十一カ月間で三十件が発生、三件が未遂となっている。発生地区はモエマ、カンポ・ベーロ、モルンビー区に多く、高級マンションが主に被害に遭っている。
 昨年はマンション強盗を分類していなかったため、統計はないが今年と同水準とみられている。これらマンションでは現金やドルのタンス預金が多く、また貴金属や宝石が多いことで多額の収穫となり、多数のグループで分けてもかなりの分け前となることが魅力という。
 これまでの被害の最高は昨年モエマ区での一〇〇万レアルと言われているが、被害にあったマンションの住人がマンションの評判と評価額が落ちるのを怖れたり、国税庁に目をつけられるのを怖れて正直に被害額を申告しないために、被害状況がつかみにくいのが実情だ。
 マンション侵入の手口も今年初めの時点では守衛をだまして正門から入るのと、ガレージにもぐり込むのが主だったが、マンション側の警備が厳重になったことから、裏側や横の塀を乗り越えるのが増えている。犯罪者は入念に計画を練って下見も行い、マンションの設計図を持っているかの如く立地条件や間取りを熟知している。空地や隣の民家の庭がマンションに隣接していると格好の侵入口となる。このためグループに侵入されて被害をこうむった隣家もあり、高級マンションの隣家も警戒が必要となっている。
 十一月十三日にモエマ区で発生した最新の事件では、十五人のグループが裏側の鉄柵をジャッキで押し広げて侵入した。四月の同区の事件では十人の覆面グループが、塀の上にセンサーが仕掛けられていることから塀の下の土を掘り起こしトンネルを掘って侵入するという大胆な手口を用いた。
 九月にはアルト・デ・ピニェイロス区でマンションの隣家が襲われ、そこから強盗らが侵入した。マンションに侵入した一味はまず守衛を拉致して、エレベーターホールやガレージで待機し、現れた住人を自室に連れて行って金品を強奪する。強奪品は現金と宝石、貴金属品に限られる。逃亡の際に身軽であることと、物品から足がついて逮捕されるのを避けるためだ。これらの住人はドルなどのタンス預金が多いことから多額の被害となる。中にはドルやユーロを混えた七万レアル相当の現金を強奪された被害者もいる。
 当局ではサンパウロ市内に少なくとも五つの組織があるとみて捜査している。二〇〇三年に組織は二つのみで検挙に成功している。組織の急増の原因は、これまで単独でコソ泥や強奪を働いてきた犯罪者が、リスクが少なく、分け前の多い組織の傘下に加わったためとみられている。この傾向は今後も増加すると見て警戒を強めている。
 これに対応するため当局はマンション従業員やガードマン向けに防犯セミナーを定期的に開催し、心構えを植えつけている。ジャルジン区第七八警察の佐藤エリザベッチ署長が催した防犯セミナーに出席したマンションの守衛が、不審者を見つけて警察に通報、逮捕されたという手柄話も報告されている。