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サンパウロ州知事選=クエルシア氏が優勢=地方部で高い人気=PTとPSDBに拒絶反応=浮動票多く先行きは不透明

2005年12月17日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十六日】二〇〇六年サンパウロ州知事選の予測調査を行ったダッタフォーリャは十五日、オレステス・クエルシア元サンパウロ州知事(ブラジル民主運動党=PMDB)が支持率で優勢なことを明らかにした。六ケースを想定した場合、五ケースで三三%から二四%の支持を得、トップに立った。同点になったのは、カルドーゾ前大統領との戦いを想定した場合のみであった。労働者党(PT)の対抗馬としてマルタ前市長を想定すると、クエルシア二六%にマルタ二一%、前大統領は一八%となった。クエルシア人気は支持よりも、PTやブラジル社会民主党(PSDB)に対する拒絶反応の表れとみられている。
 ケース一は対抗馬を前大統領とした場合、クエルシア二四%にカルドーゾ二三%、メルカダンテ上議(PT)二〇%。ケース二は対抗馬から前大統領を外すと、クエルシア三一%、メルカダンテ二三%。ケース四は対抗馬をマルタ前市長と前大統領とした場合、クエルシア二六%、マルタ二一%、前大統領一八%。
 この結果は、サンパウロ州知事選はPTとPSDBの独断場と思っていた面々を狼狽させた。調査でクエルシア氏が、バンデイランテス宮の至近距離にあることが判明した。誤差を考慮に入れて同点となったのは、カルドーゾ前大統領のみ。白紙と無効がクエルシア氏と同点なのも不思議なことである。
 白紙や無効の浮動票が多いのは、選挙までに調査結果が目まぐるしく変わる可能性を示唆している。調査で指摘されなかった新人候補が出現する可能性もある。クエルシア票は、ハミダシ票ともいえそうだ。
 マルタ前市長とメルカダンテ上議は、PTを揺さぶった政治危機の洗礼を受けた。前大統領は八年の大統領経験がある。これらの条件が政治に対し無言の抗議をするという側面がある。だから調査は両党に対する拒絶反応の表れと同調査機関はみている。
 クエルシア氏は現在、政治の表舞台から離れ、顔を見せることは少ない。サンパウロ州の政治問題もさることながら、コーヒー栽培に忙しい。同氏の政治姿勢も今一つだが、所属党のPMDBも政治色が不鮮明でよく見えない。
 PSDBは前大統領のほかに、キャリア充分な元教育相のパウロ・R・ソウザ氏と元PSDB党首のアニバル市議が出馬を再々表明し、意欲を燃やしている。しかし、調査で見るかぎり旗色はよくない。
 PSDBで最も人気のある前大統領は、女性や高学歴層にモテモテ。それでもマルタには一歩譲る。調査を地域別に見ると、クエルシア氏は地方に強い。大サンパウロ市圏で見るとマルタ二九%、クエルシア二六%。
 クエルシア氏は一九八七年から九〇年までサンパウロ州知事を務めたので、十六歳から二十四歳の層には知名度が低い。同氏は所得層で見ると、最低賃金の十倍以上のクラスで支持率が二〇%以下である。高学歴層の間でも支持率が下がる。同氏は九〇年以降、後継者フレウリ氏と同盟を組んでから政治運が落ち目であった。
 クエルシア氏の輝かしい政治歴は七四年、上議選でカルヴァーリョ・ピント元知事を破り一躍名声を馳せたときだ。それからトントン拍子に階段を上ったが、九四年に大統領選で人気者エネアス・カルネイロ候補の後塵を拝し、政治の表舞台から姿を消した。