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「FTAAはテトラポット」=駐伯米大使、重要性を訴え

2005年12月21日(水)

 【ヴェージャ誌一九三三号】ジョン・ダニロヴィッチ駐伯米大使は在任十七カ月間、ブラジル政府要人や財界人に米州自由貿易圏(FTAA)の重要性とラテン・アメリカにおけるブラジルの使命を訴えた。中国とインドはやがて、ブラジルのライバル国となるから、FTAAはそのときブラジルのテトラポットになるという。
 【伯米関係】アモリン外相が発表したブラジル外交の五本柱の中に欧米が抜けていた。これは伯米両国関係の広さと深さ、長い歴史から見てやっかいなことを招くと同大使は警告した。経済関係は必ずしも、外交関係とは一致しない。インドと米国が三年計画で、通商関係を年四〇〇億ドルに引き上げる協定を結んだことに、ブラジルは注意すべきだと諭した。
 【ブラジルと民主主義】ブラジルは南米の産業と政治の中心地で、米国の同盟国と米政府は見ている。南米に民主主義が根付き、経済が安定するために伯米両国は中心的役割が課されている。ハイチの民主化へ向けた環境作りの難しい任務を遂行しているブラジルの努力は、ボリビアにも影響を及ぼしている。
 【ブラジル経済】各国経済は、民族性に応じて自分のペースで成長する。ブラジルが自らの産業を見出したことは特に大切である。ブラジルが途上国と協調し外資を呼び込みながら、グローバル経済の中へ参加することも重要である。ブラジルは中国やインド市場へ参入するため、国際資本導入のための投資環境の整備が必要だ。
 【FTAA】伯米両国が合意に至らなかったことは、残念であった。さらに残念なのは十年計画で始めた構想が、充分な時間がありながら結実しなかったこと。これは米国よりもブラジルにとってチャンスの喪失。それは両国のFTAA構想に対する見解が異なったのが原因といえる。ブラジルがFTAAから離れて、メルコスルで小さく固まるとは考えられないことだ。ブラジルが好むと好まざるとに関わらず、FTAAは発足する。FTAAは大市場として発展する。それでもブラジルは一匹狼で意地を張るのか。
 【ブラジルの反米感情】二十世紀後半、イデオロギーの差で拘束や拷問を受けた者もあった。しかし、それは今世紀に入り変わった。ブラジルは中道左派の国。伯米両国は忌憚なき意見がいつも交わされ、関係は良好である。政治的には一致しない部分もある。ブラジル政府は、ブラジルの事情に則して判断をする。ブラジルの独自判断は、途上国にとって注視の的だ。しかし、それは政治的な判断であってイデオロギーの問題ではない。