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100周年に向けて=「リベルダーデとは何か」=USPのグループ=学術的に調べる=どう形成され、どう変わったか=現場聴き取り調査を

2005年12月21日(水)

【既報関連】移民百周年に向けて学術的な面から貢献したい―。サンパウロ大学の森幸一教授を中心とした学生ら十五人が「リベルダーデの形成と変容」についての調査を計画していたが、来年一月から本格的に活動を開始することになった。まずは、リベルダーデ区内の街路ごとにどのような店や協会があるのか、フィールドワークでの調査を進め、地図にする。二〇〇八年六月には調査結果を一冊の本にしたい考え。セミナーや展示会の開催も計画している。
 フィールドワークをする前段階としては、一九〇八年から現在まで、年代ごとに起こった出来事やイベントを文献などで調べていた。第二段階として、今回リベルダーデの街路ごとにどのような店、協会、学校、レストランなどがあるのかを調査し、地図にする。その後、何年に創立したかなど個々の店の詳細を取材していく予定だ。最終的には歴史を研究し、個人のテーマに沿った調査を進めていく。
 森さんは「これは移民研究でもあり、ブラジル研究でもある」と言い切り「サンパウロにおけるリベルダーデとは何か。都市の発展と形成史の問題にもつながってくる」と説明する。
 学生は日系人三人を除くほとんどが非日系ブラジル人。なかには中国人もいて「リベルダーデにおける日系人と中国人の関係」に関心があるという。文学部の学生、マヌエラ・ミキ・ソウザ・アラウージョさん(20)は、リベルダーデにおける音楽、絵画、映画がどのように表象されていくのかを研究する。「大学での日系人との接触の中で、ブラジル語と日本語の言語の混合に興味を持った」という地理学専攻のホドリーゴ・フェレイラさん(23)。地理学的な視点から町の形成過程を調べる。また、二世の教育に興味があり、大正小学校について調べたいという学生もいる。
 調査する上での問題点を日本語だと指摘する森さん。「日本語の文献が多い分、生徒たちは大変。言葉も覚えないといけないし、果敢ですね。今後はうまく学生の関心を育てていければいいと思う」と抱負を語った。
 今後は、ブラジル日本移民百周年記念祭典協会に申し込み、文協内の一室を借りて、そこを研究室にする予定だ。