2005年12月22日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十一日】ルーラ政権誕生の黒子と目されるマルコス・ヴァレーリオ氏は二十日、労働者党(PT)を相手取って融資金の返済を求める訴訟を起こしたことを明らかにした。同氏は政府案を可決するために連立与党へ配布した裏金を捻出した疑惑者とされたが、二件の訴訟で合計一億レアル以上をPTへ請求する。返済請求は最初、PTと紳士協定による清算を打診したが、党執行部が拒絶した。一方、議会調査委員会(CPI)は裏金操作を公金横領の隠れみのと結論づけた。郵便局CPI委員長のアマラル上議(PT)は、裏金融資はヴァレーリオ氏とソアレスPT財務担当の創作で、納得できないものとの声明を発表した。
PT執行部は、一億五八万レアルの融資金で借り入れを許可したことはないし、入金の経理処理がないので党は関知していないとPTの関与を否定した。しかし、受取人は党定款により資金の調達権限を一切任され、財務責任者に指名されたソアレス氏である。
提訴手続きは十六日、ブラジリア第十と第十一民事法廷で行われた。党向け融資金の他にヴァレーリオ氏が連帯保証をしている五五九四万レアルと三五万レアルの一時立替金の決済をも求めた。
ヴァレーリオ氏の所有企業名義で二〇〇三年二月と〇四年四月、ミナス・ジェライス銀行とルラル銀行から六回にわたり融資を受け、融資金はPTへ渡したという。PTはソアレス財務担当により連立与党へ配布したとされる。領収書はソアレス氏が発行した。
最初の融資金取得から三年が経過し、今になって資金はPTに渡したから返済せよという話だ。蜜月時代は問題にならなかったことだが、いまや功労者とは邪魔者の仲である。
ヴァレーリオ氏が立て替えたPT決済分の五〇万レアルは、同氏とジェノイーノ前PT党首の連帯保証でミナス・ジェライス銀行から借りた二四〇万レアルの分割決済分である。同氏はPTに対する債権者であることを認めて欲しいと裁判所に訴えている。
同氏の弁護団はPTの詭弁に対する包囲作戦は準備完了という。この類の訴訟は、法律論争よりも状況論争か話法論争になるとみられる。論争の焦点は公然の事実であり、民法では立件の根拠や証拠にこだわらないと弁護団はみる。
党執行部の言い分は、党定款で棄却されると弁護団がいう。財務担当の資金捻出権限は定款二十四条に明記されている。百六十七条では、財務担当の私的行為も容認される。政治献金捻出のため治外法権の集金メカニズム構築も、その範囲に当たる。
郵便局CPIは、裏金システムが横領した公金の海外不正送金を隠ぺいする工作と結論した。資金をPTの裏帳簿から出金したように見せかけ、政府の仮面をかぶってヴァレーリオ氏の違法取引に利用した。
ルラル銀行のゴジーニョ元専務は、同行の融資金が偽装融資で、実際は決済も返済もなかったとCPIで証言した。判決まで三年かかると思われるが、PT敗訴の可能性もあると法務関係者はいう。