2005年12月23日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】積荷強盗が急増していることで、下院は十八日の国会で、犯罪防止のための規制と罰則を定めた法令を満場一致で可決した。上院でも承認される見通し。
積荷強盗は専門の犯罪組織が存在し、昨年一年間に全国で一万一四〇〇件の被害があり、被害総額は一〇億レアル以上に達した。輸送トラックが走行中の国道での被害が四〇〇〇件と最も多く、残りは各市内で発生している。
サンパウロ州の統計によると、今年九カ月間で三一二二件が発生、部門別では、電化製品の二九〇〇万レアルの被害総額がトップとなっている。件数のトップは食料品で、次いで順に医薬品、電気製品、煙草、衣料品となっている。被害の時間帯は火曜日から木曜日にかけての午前六時から正午までが最も多い。今年上半期の被害現場はアニャンゲーラ道(六九件)とドゥトラ道(五三件)が多く、サンパウロ市内では都心部(一〇二件)と北部(一〇四件)で多発している。
この新法令で最も注目されるのは、故買商店への罰則だ。犯罪組織は盗んだ品物を商店に売る話を予めつけていることから、この故買のルートを断ち切ることを目的としている。故買を行った商店は、財産・不動産、故買に関連した倉庫はてはトラックまで没収される。当然罰金や税金の追徴金も含まれる。これまでこの種の犯罪は脱税取締りの名目で国税庁や税務局の管轄となっていたが、今後は刑事犯罪とみなされ、警察との連携捜査となる。
安い価格の故買商品の販売で市場価格は混乱に悩まされてきた、サンパウロ州商業連盟は新措置に歓迎の意を表し、全面的に協力するとの態度を表明している。
いっぽうで新しい規制ではメーカーに対し、製品全てに製造ロットと番号を表示することを義務づけた。これにより盗品を識別できるからだ。さらに出荷伝票(ノッタ・フィスカル)にこれらの番号を表記することで脱税防止の二重効果となる。
例えばこれまでは二万個の同じ製品を出荷する場合、一千個の伝票で二十回輸送しても犯罪は証明が難しかったが、製造番号が一番から二万番まで入ることで一目瞭然となる。これでメリットがでるのがICMS(商品流通サービス税)の脱税防止だ。また故買者の「盗品とは知らなかった」とするこれまでの言い逃れはできなくなる。
さらに製品運搬トラックに盗難防止や通報装置を取り付けることも義務づけられた。具体的な装置については市当局と業界代表との話し合いで決定される。これによりコストアップとなるが、その見返りに盗難保険料率が引き下げられる。