2005年12月23日(金)
汎スザノ文化体育農事協会(ACEAS)が建設を進めてきたスザノ日伯学園(CENIBRAS)の落成式が十八日、スザノ市の同校(ヂベ・タヌス街535)で開かれた。地域の日系団体が運営する教育機関として、二世、三世が中心となって作り上げてきた同校。構想開始から八年の歳月を経て、晴れて落成の日を迎えた。授業は来年二月から。すでに一年生から六年生までの生徒募集が始まっている。式には同市の市長をはじめ約三百人が出席、スザノ日系社会の新たな船出を祝福した。
地域日系団体によるブラジル学校の運営という新しい試みに乗り出したACEAS。同学園の建設構想は九七年、東ルイス前理事長(現スザノ市議)の時代にはじまった。以来八年、構想は上野ジョルジ現理事長に引き継がれ、行事を通じた資金集めや企業や団体、会員などの寄付を受け、この日の落成にこぎつけた。
落成式には、マルセロ・カンヂード・スザノ市長、副市長をはじめ市の各局長、サンパウロ州教育局の代表が臨席。また、丸橋次郎在サンパウロ首席領事、JICA関係者など日本政府機関代表、文協や百周年協会、ブラジル日本語センターなどサンパウロの日系団体からも来賓が訪れた。
前日降った雨の影響で、この日の式は新校舎の中で行なわれた。出席者は約三百人。スザノ市内の六つの日系団体や都道府県人会支部からも代表者が訪れた。
ACEASの上野ジョルジ理事長はあいさつで、自身の任期中に開校の日を迎えたことへの喜びを表わし、関係者に謝した。また、同じくACEAS理事長を務めた父親の上野博さん(故人)に触れ、「天上で父も喜んでいると思います」と述べた。
この日は同市の正副市長をはじめ、市の関係者も多数出席。カンヂード市長は同学園の落成を「二〇〇八年の日本移民百周年を祝うイベントの一つ」と強調、「スザノ市のみならず、ブラジル国にとっても重要なこと」と祝福した。マウロ・バス副市長も、スザノ日系社会、ACEASが学園建設に注いだ情熱、地域教育への貢献を称えた。
市議として学園構想を支えた東ルイス・ACEAS評議員会長、来賓らのあいさつの後、学園の名を刻んだプラッカを除幕。鏡割、乾杯に続いて、ACEAS体育館で祝賀昼食会が開かれた。午後からは敬老会や忘年会、紅白歌合戦などの催しも開かれた。
同学園の校舎は敷地約一千平方メートル。ACEASの敷地(九万平方メートル)の中に建てられ、プールや体育館、テニスコートなど同会の施設は学園の授業にも利用される。
授業は午前中がブラジル学校の正規課程。午後から日本語や英語をはじめ、コンピュータや各種のスポーツなどの選択科目を受ける。
上野理事長は「教室に入るときはスリッパにはき替えるといった習慣を自然に身に付けられるような教育ができれば」と期待を表わす。
授業開始は来年二月。すでに一年から六年生までの生徒募集が始まっている。一クラスは最大で二十五人程度を考えているという。
当面はACEASの会員子弟を中心に生徒を募集。会員以外の子弟についても、親が同会に入会して維持費を払う形で対応していく考えだ。
「普通の学校は利益を考えなければいけませんが、ここは維持できればいいので月謝も低くできます」と上野理事長は強調する。校長もほぼ決まり、現在、市との協力について話を進めている。
二世、三世を中心に地元日系社会が一丸となって実現した日伯学園。スザノの挑戦はいま始まったところだ。
「式に来てくれたみなさんが『めでたいこと』『今までにないこと』と喜んでくれました」と語る上野理事長。「二年後には高校部の開設を目指したい」と抱負を語った。
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スザノ日伯学園(Cenibras-Centro Educacional Nipo-brasileiro de Suzano)。住所は、Rua Dibe Tannus,535,Chacara Reunida Guaio,Suzano。同校に関する問い合わせは、電話(11)4746・3795(月曜から金曜、午後二時から六時)まで。