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グローバル化でどうなるブラジル?=否応なく新時代へ=時流に乗り有産階級誕生=自宅にいて技術を輸出

2005年12月28日(水)

 【ヴェージャ誌一九三五号】丸かった地球がグロバリゼーションのために平たくなったというニューヨーク・タイムズ紙の記者トマス・フリードマン氏が自著「地球は板状」の出版記念で来伯した。ブラジルにとってグローバル化とは何かで、読者の関心を集めている。著書の内容は、グローバル化が経済一極化と技術革新をもたらし、ブラジルは否応なく、新時代へ追いやられたという。一方でグローバル化の波に乗ったのが中国とインドとされる。ブラジルはグローバル化で一体どうなるのか。
 同氏は最近、携帯電話を購入し、送信だけで受信しないようにセットした。自分の貴重な瞑想の時間を邪魔されないためという。以下は同氏との一問一答。
 【板状の地球とは何か】二〇〇〇年から始まったグロバリゼーション第二期のことで、個人生活のグローバル化である。それはインターネットや携帯電話、光通信網などによる技術革新を生活に取り込み採用すること。生活の中に情報通信とイノベーション・センターが形成され、世界経済が机の上で捉えられる。世界のニュースが隣家の出来事のようになる。
 【個人生活のグローバル化によるインパクトは何か】自宅にいて世界が見える。サンパウロにいて常に、時代の刷新が可能になったのだ。ブラジルは一時期、IT技師やプログラマーの人材を輸出した。ブラジルは今、自宅で家族と共にフェイジョアーダを食べ、ブラジルの技術を輸出できる。人は好む環境で働くことが、可能になった。
 【中国やインドが、ブラジルよりグローバル化が進んだのは何故か】両国の人々は、環境への対応と競争への対処する点で天才である。米企業の求人に対し候補国としてブラジルやメキシコ、イスラエルがあったが、職務にかける熱意は中国やインドの比ではない。
 【グローバル化の中で教育とは何か】質の高い人材を育成すること。例えばグーグルとは何か。グーグルとは方程式の一種で、インターネット遊泳術なのだ。教育とは、技術的イノベーションの基礎である。
 【板状世界でブラジルの課題は何か】ブラジルに限らず全ての国は、三つの基礎が必要だ。第一はブロード・バンドや携帯電話、電話回線、港湾、空港などのインフラ。そのどれかに個人が連結できないなら、板状社会に生きている理由がない。第二は教育。第三が清廉な政治。
 【清廉な政治とは何か】産業の発展奨励と所得の公平な配分、医療行政、治安、会社経営の能率化を促す政治をいう。
 【FTAA(米州自由貿易圏)についての感想は】伯米両国にとって意義ある構想である。FTAAは、雪解けの先駆けである。
 【ポルトアレグレのグローバル化反対運動をどう思うか】反対論者は考えが歪んでいる。グローバル化の否定的面だけを強調して良い面を理解せず、姑息な貧乏人同盟を結成した。
 中国やインドでは、グローバル化のお陰で多数の有産階級が誕生した。ブラジルでも時流に乗った有産階級が生まれている。グローバル化以前の時代よりも容易に裕福になれるのだ。グローバル化に背を向けるのは北朝鮮だけ。
 グローバル化を排し市場開放も携帯電話もない世界は、悲劇そのものだ。貧乏であり続けたいなら、ジンバブエを見習え。同国は政治が腐敗し、国民が貧乏のドン底にある。ジンバブエを貧困から救うには、グローバル化による政治の浄化しかない。