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中銀の通貨政策は唯我独尊=産業界の発展まで目が届かず

2005年12月28日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】メイレーレス中央銀行総裁は六日、高金利政策に対する内外の批判に対し、隠忍自重の火蓋を切って猛反発した。中銀が時代遅れの通貨政策に固執して国内総生産(GDP)を犠牲にしたと批判したマンテガ産業開発銀行(BNDES)総裁が攻撃の的らしい。
 総裁は、物静かな銀行マンの名誉も地位もかなぐり捨てたように中銀規定を石つぶてのように投げつけた。もし中銀の通貨政策が正しいなら、何故かくも多くの経済界の重鎮が金利政策を批判して立ち上がるのかと。
 目標インフレ率システムでは、通貨政策は適正な金利水準だけを判断するわけではない。通貨政策は産業の振興と管理の一部分ではないか。その意味で中銀は失策を犯したといわざるを得ない。
 フォーカス調査会社は、金融機関やコンサルタント百社に質問した結果、金融界は中銀方式に合わせたが、金融は産業というみかんの房に過ぎないと答えた。中銀の通貨政策は産業界の発展も視野に入れるべきであったが、そこまで目が届かなかったという。
 中銀の釈明には中銀批判派はもちろん、閣僚らも納得していない。板ばさみのルーラ大統領は火消しに努めるだけだ。財界は自信タップリの中銀に業を煮やし、通貨政策は擦り切れて黒煙を吐いて走る自動車のようだとみている。
 国民にヌカ喜びさせたのは、経済回復の景観を約束したルーラ政権だけではない。中銀はチラシを配って宣伝した商品とは違うものを三つ売った。
 その一つは、経済学者の十人に九人が金利政策の誤りを指摘している。学者を納得させるには中銀の釈明は説明不充分と言っている。第二が中銀のドル介入は外貨準備高の補給に過ぎないこと。為替介入ならこの程度のドル購入は不要というのが学者の意見だ。
 第三は、国内総生産(GDP)の低下が中銀がいうように在庫管理の不具合が原因ならば、経営管理で調整し回復できるはずだ。しかし、それはなかった。従って中銀の通貨政策は独り善がりであり、唯我独尊としか言いようがない。