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コラム 樹海

 本紙は、きょう二十八日付が今年の最終号である。今年は読者のみなさんに二百四十八日(部)お届けした▼「(新聞の)購読者と愛読者は違うぞ」、もう四十年くらい前になるだろうか、先輩記者にそう教えられた。購読者は、おカネを払って読んでくれる人、つまり、お客さん。愛読者は、単に読んでくれる人という意味だ。暗に、大切にしたいのは購読者だといっている▼近年、新聞社には購読者でも、愛読者でもない人たちが、多数出入りするようになった。催しもの案内に来社する人たちである。邦字新聞の発行部数でいう最盛期に当たる四十数年前に比べ、日系人口は増え、イベントそのものも多様化した。関わる人は、高齢化した一世でなく、元気な若者たちだ。そのほとんどが日本語を読まない▼日系社会は空洞化だの、活性を欠くといった議論はあるが、こと、多種多様なイベントに関する限り、年ごとに激増しているのは確かである▼邦字新聞の購読者や愛読者が多かったころは、早い話、カラオケもゲートボールもなかった。芸能は、日本からくる歌手の公演が「華」。それは観て聴くものだった。だから、全員参加的なものがあまりなかったといえよう▼さて、新聞をつくる者としては、お客さんの用事はどうあれ、いつも大切にしなければならない。購読に結びつかないからといって、どうこう言っても始まらない。来る新年も〃来社洪水〃は変わらないだろう。サービスするのは「つとめ」と心得てかかるとしよう。          (神)

05/12/28