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05年の輸出が過去最高に=今年も11%増へ=強気予測の産業開発省=漁夫の利だった鶏肉と牛肉

2006年1月4日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】ブラジルは二〇〇五年、レアル高と口蹄疫、農産物不況など不利な状況の中、一一八三億ドルと過去最高の輸出を達成した。さらに〇六年、昨年比一一%増の一三二〇億ドルの輸出を達成するであろうとフルラン産業開発相が二日、明らかにした。〇五年の輸出は前年比二三・一%増となり、IMF(国際通貨基金)予測の世界平均増加率一四%を上回った。〇六年は〇五年より低調となるものの、ドル通貨の回復も予想され、前年比一一%増を見込んでいる。貿易収支は、前年比三三%増の四四七億六四〇〇万ドルであった。
 〇六年の国際市場は好調と見られ、産業開発相を始め同省スタッフは強気である。ブラジルの輸出増加率は〇三年以来、世界平均を上回り、今後もこの傾向は続くものと思われる。為替市場は中央銀行が上限廃止の無制限介入としたので、長い目で見れば現状より好転と同相は期待している。
 〇六年の為替率予測は、二・二〇レアルから二・五五レアルあたりで安定すると同相は踏んでいる。また〇六年の国内総生産(GDP)の増加率は、四%以上と同相が予測。輸出手続の簡略化とともに為替の算出法のスピード化など、改革に挑戦するらしい。
 為替基本法は一九三七年に制定された。二十一世紀に相応しい為替改正案が現在草案され、議会へ上程の運びとなっている。同法は為替制度の黎明期に制定されたもので、今日の複雑多岐な為替市場では時代遅れとなっている。
 同相は、国際市場の貿易規模が国内企業が計画しているプロジェクトを凌駕していると述べた。ブラジルが国際貿易に対応するためには、輸出戦略を根本から見直す必要があるという。〇六年は輸出促進を図るため、新たにNOVOEX局を増設する抱負を語った。
 企業が率先して経済使節団を世界各国へ派遣したのは正解だったと同相が称賛した。経済使節団の派遣によって資本財や消費財の需要を喚起し、主要資材の価格交渉も有利に展開させることができた。また工業製品の輸出量でも、〇五年は見るものがあった。
 工業製品の輸出は〇四年に全輸出の五四・九%を占めたが、〇五年は五五・一%となった。原料輸出から車両や石油製品などの工業製品に比重が移ったことで、輸出の質が変わったと同相は喜んでいる。
 レアル高による輸出の後退を救ったのは、鉄鉱石の七一・五%値上げと鳥インフルエンザ、狂牛病であった。ブラジルは期せずして鶏肉と牛肉の輸出大国の一つとなり、為替差損を跳ね返し貿易収支を有利に導いた。誰も想像だにしなかったことで、漁夫の利としかいいようがない。
 自動車ではフォルクスワーゲンの場合、レアル高のため一五%の値上げをしたにもかかわらず、〇五年に過去最高のトラックやバス八九〇〇台を輸出した。全生産に占める輸出率も、〇五年の二〇%から〇六年には二五%を見込んでいる。