年末にブラジル南部を訪れたついでに、ドイツ移民が築いた町を回った。一昨年に移民百八十年を迎えたドイツ系コミュニティ。日本移民より数世代の「先輩」だ。
ドイツ系は五世になってもドイツ語を話す、とはよく聞く話。本当にそうだろうか。
訪問先で折に触れて聞いてみる。「話すよ」という人も、そうでない人も。話す人でも「家庭内で」という事だった。
ポルトアレグレ郊外の町の歴史館で会った女性は「親の代までは話すけど、私は親がドイツ語を勉強させなかった。祖母はドイツ語しかできませんよ」。一族は十九世紀中頃に移住、「祖母」といっても三世になる。
とあるバスで、ドイツ系らしき老人が連れに席番を確認していた。彼の口から出た言葉はドイツ語の「Nummer(ポ語のNumero)」。百八十年後の今もドイツ語が生きている、そう感じた。(ま)
06/01/04