2006年1月5日(木)
在外選挙が選挙区投票の時代へ――。海外から日本の国政選挙への選挙区投票が今年中に実現する可能性が出てきた。時事通信が先月末に報じたもので、政府が今月招集予定の通常国会に公職選挙法の改正案を提出する見通し。あわせてインターネットを通じて候補者情報を提供する仕組みも整備し、早ければ今年十月の衆参統一補選から実施する方針だと伝えている。
在外選挙は九八年の公職選挙法改正により衆・参議院の比例代表(政党名のみ)への投票が実現。二〇〇〇年の衆議院選挙から導入され、昨年九月の衆議院選挙で五回目となる。
二〇〇四年七月の参議院選挙からブラジル国内すべての在外公館での公館投票が実現。昨年の衆院選で四日間に二千人以上がサンパウロ総領事館を訪れたことは記憶に新しい。
今回の改正案は、国政選挙への海外からの投票を比例代表選挙に限定した、現行公職選挙法附則の規定を削除するもの。九六年にアメリカ、フィリピンなどの在外邦人からなる原告団が国に対して起こした裁判で、昨年九月に最高裁が違憲の判断を下し、選挙区投票への道が開けた。
最高裁判断を受け、小泉首相も改正に前向きな姿勢を表明。外務省でも在外選挙制度をめぐる環境整備の検討に着手している。
時事通信の報道によれば、実際に法案が提出、可決された場合、政府は早ければ今年十月の衆参統一補欠選挙から選挙区投票を実施する方針だという。地域の限定された補欠選挙で先に選挙区投票が実施されれば、来年の参議院選挙に向けた準備が進むことも期待される。
選挙区投票が実現した場合の課題の一つが、候補者の情報をどのように有権者に伝えるかという問題。各在外公館のホームページを利用する方法も考えられるが、インターネットに限らず、どのように有権者に情報を提供できるか、今後の検討が待たれるところだ。
この件についてサンパウロ総領事館では「実際に法律が通れば本省から指示が来ると思うが、現時点では詳細は聞いていない」としながらも、「その方向で準備をしているので、心構えはできている」とコメントした。