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アルコール高騰=政府、行政介入を示唆=精製業者に圧力=在庫40億リットル押収も=5月には値下がりの見通し

2006年1月6日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】アルコール燃料が値上がりしたことでルーラ大統領は四日、ロドリゲス農相に遺憾の意を表し、政府が燃料業界に行政介入する可能性を示唆した。アルコール精製業者に圧力を掛けるため、四〇億リットルとされるアルコールの在庫の押収も辞さない意向を示した。これまで農務省エネルギー局やさとうきび課が想定外としていた米国産アルコールの輸入も検討するよう指示した。一方、プラナウト宮はガソリンへのアルコール混入率を、二五%から二〇%へ低減する方向で検討を始めた。アルコールの高騰は端境期のためとする精製業者を政府が召喚し、十一日に最終判断を下す。
 農務省エネルギー局のブレッサン長官は四日、政府の行政介入示唆を受けて、消費者の負担にならず、しかも精製業者の供給に支障を来たさないよう解決の模索に乗り出した。四月からさとうきびの収穫が始まるため、アルコールの高騰は過度的現象とされる。
 五月に入れば精製業者の出荷価格は、三〇%の値下がりが見込まれている。従って十一日に発令される政府措置は、暫定的なものと予想される。政府関係者は、さとうきびの買い付け価格に上限を設けることも選択肢に入れている。
 ガソリンへのアルコール混入率の低減は、ガソリン価格の高騰を招くとして鉱動省が反対した。同省は次期収穫が始まる四月まで、四〇億リットルの在庫放出で窮地は脱せるとみている。アルコールの時期的高騰の解決策として、生産業者の意見を聞くことにした。
 精製業者の販売価格は現在、アニドロ(無水)アルコールがリットル当たり一・一〇レアル、ヒドロ(水和)アルコールは一・〇〇レアルである。生産原価は、〇・七五レアルから〇・八〇レアルとされ、端境期の便乗値上げではない。消費者価格は、さらに税金とガソリン・スタンドの経費が上乗せされる。
 ブレッサン長官は、四月までの辛抱だという。さとうきびの生産地リベイロン・プレットではフレックス燃料車の所有者が、アルコールの一四・二%値上げでガソリンに切り替えた。アルコール価格が当地でもガソリン価格の六七%に高騰。アラサトゥーバでは、六九%となっている。
 燃料関係の技術者はアルコール価格が六〇%以下なら経済的だが、七〇%を超えると維持費も含めてアルコール燃料のメリットがないという。十二月三十一日一・六〇レアルであったアルコールは一月一日、一・八〇レアルに値上げされた。二・六〇レアルのガソリンも近日、値上げされる模様。
 さとうきびの栽培面積は年々、記録を更新している。〇五/〇六年は、五九〇万ヘクタールで前年比五・四%増。同期の収穫予想は四億三六八〇万トンで、昨年同期比五・一%増。エタノール輸出は〇四年の一九億リットルから〇五年、二一億リットルと一〇・五%増えた。しかし、価格では五一・八%増と有利に展開した。
 世界的アルコール需要の激増で、栽培面積も精製設備も不足している。北東部やパラナ州、マット・グロッソ・ド・スル州の降雨不足で作柄は予想を下回っている。