「悪魔を瓶に詰めた女」「王様の質問とカモンエスの回答」……。
北東部の木版画家で〃講談〃作家J・ボルジェスのコルデル(民衆本)は題名からして面白い。
彼の展覧会(二十九日までSESCサンタナ)をみてきた。定期的に再評価されるコルデルの世界とその版画表現。彼は代表作家の一人だが、まとまった作品を鑑賞できる機会は恐らく珍しい。
かの地の市場の空気を再現したような会場構成も秀逸で、コルデルのヤマ場を講談調で語る売り子の声が、いまにも聞こえてきそうだった。
ドキュメンタリーによると、一九三五年生まれの彼は、生地ペルネンブッコ州ベゼロスにある工房で変わらず制作を続けているという。
州都レシーフェから百キロ。彼を訪ねて、日本人(あるいは移民史)をテーマにした作品を依頼するのが今年の夢だ。 (大)
06/01/10