2006年1月11日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】国際通貨基金(IMF)の融資全額決済に立ち会うため来伯したロドリゴ・ラット専務理事は九日、ブラジルは好調な経済環境の中、〇五年より〇六年は大幅に産業が発展すると述べた。かつて悩まされたインフレは鎮静し、債務コストや低所得層も減少した。これから雇用は増加、国際信用も高まり国際金融の資本投下も活発化すると称賛した。今後心がけるべきは.公共債務の削減と財政再建であるとした。同専務理事は十日、パロッシ財務相の案内でルーラ大統領が取り行う百五十億ドルに上るIMF融資の決済式典に出席する。
ブラジルは過去のたゆまぬ努力とチャンス到来により、これから豊作の時代を迎えるという。同専務理事は、ブラジルが遭遇する数々の問題について次のような談話を述べた。
【パロッシ財務相の緊縮財政に対するあつれき】内政問題について発言する立場にないが、一つ言えることはブラジルにとって未だなかったチャンスが到来したこと。これまでの努力は、チャンスを消化するための準備であった。経済安定を優先したマクロ政策が、ブラジルにダイナミックな潜在能力をもたらした。これまで蓄えたパワーは失うことがないし、これからの経済政策の基礎になる。
【〇六年と〇七年の国際経済環境】これまでにも有利な国際環境は訪れたが、ブラジルは時流に乗れずチャンスを逸した。それが今回の好調な国際経済環境に便乗できる下地が、ブラジルにできた。そのためにブラジルは血のにじむ努力をした。今回のチャンスで、途上国は大きく伸びる。
ブラジルも債務コストを下げ国際信用を高めるなら、国際金融の流れが変わる。先進国と途上国の立場逆転も可能なチャンスが来ている。ブラジルは経済の近代化を図り、グロバリゼーションの中で万全な地位を築くのが肝要だ。
【ブラジルの経済的課題】経済の構造改革と長期債務への切り替え、ドル決済契約の縮小、国内総生産(GDP)に対する債務率の低減、高率の設備投資が恒例化し堅固な経済基盤が完成
している国々のクラブへ加入すること。
【ドーハ・ラウンドへの感想】過去三十年の教訓から、市場開放を率先し国内産業保護から脱却した国ほど経済が発展し、自国の国内消費市場も強化した。その意味でブラジルの輸出政策は正解であり、その結果が通貨の評価では。
【亜国経済に関する感想】亜国の〇二年における財政状態は、深刻であった。GDPは劇的に落ち込み、〇五年にようやく回復基調に入った。経済政策に対する亜国社会の反応も、常軌を逸している。亜国経済が国際金融の恩恵を受けるには、まだ道のりは遠く試行錯誤の段階にある。
亜国家経済は、基礎収支という概念が希薄である。ブラジルには未経験の経済危機で、両国の産業形態を比較することはできない。亜国はグローバル経済の仲間入りをするために、生みの苦しみを味わったのだ。