2006年1月13日(金)
サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス市で昨年八月に十二歳の少女が暴行を受けたとされる事件で、容疑者の男が事件後日本に行っていることが明らかになった。地元紙「バーレ・パライバーノ」が十一日に報じた。少女の妊娠により事件が発覚、現在五カ月目だという。
DDM(女性保護捜査局)が捜査を進めており、今後は在日ブラジル公館を通じて事情聴取を行うかどうかが焦点になりそうだ。
事件が起きたのはサンジョゼ市東部。同地区に住む十二歳の少女が隣人の男(五十歳前後、フェイランテ)に暴行されたというものだ。
少女の証言によれば、容疑者とされるこの男は少女に荷物を運ぶのを手伝ってほしいと頼んで自宅近くに連れ出し、暴行に及んだ。事件後、男は少女に五十レアルを渡し、家族に話せば殺すと脅したという。
そのため少女は口をつぐんでいたが、その後妊娠していることが分かり今年になって事件が発覚した。バーレ・パライバーノ紙の報道では、男はそれ以前、三カ月ほど前に夫人と日本へ働きに行ったとされる。捜査を進めるDDMは、被害者を含む関係者に事情を聞いている。
捜査担当者は今回のケースについて、十四才以下の未成年者が被害者となる暴行事件の場合、たとえ合意があったとしてもその合意は正当性もたないとする「推定の暴力」(violencia presumida)にあたるとの見方を示している。
今後は、サンジョゼ市の裁判所から男性に対し、証言の要請が出ていることを告知する「Carta Rogatoria」(外国裁判所への嘱託書)を送ることになる。実際の事情聴取は在日ブラジル公館を通じて行われることになりそうだ。しかし、嘱託書を送る場合、相手の現住所不明などのケースも多く、時間がかかることも予想される。
少女と家族に対する地元の教会関係者や民間団体による支援もはじまっているという。すでに妊娠五カ月目で中絶は難しい。三十六歳の母親はいまも当惑の色を隠せない様子だ。一家は子供の名前を考え始めた。少女は近々最初の洗礼式を控えているという。