今年の日本は豪雪が続く。新潟県では一晩で4メ―トル近くも積雪し、他にも16箇所ほどがこれまでの新記録だった。新幹線が運転中止を余儀なくされ飛行機も雪が多すぎて欠航。車の事故や住民らの犠牲も多い。今、これを綴っているときの死者は81名と異常である。首相の指示もあり陸上自衛隊が、災難者の救助や除雪作業に出動しているが、こんな「雪どっかり」も珍しい▼今年の北半球は中国もインドも寒い。インドの北部にある首都・ニュ―デリ―では、ヒマラヤからの寒風が襲来押し市民ら100人超が死んだと外電は伝えている。例年は7度から8度が平均的なのだが、この冬は70数年ぶりに零下にまで下がったのが犠牲者をいっぱい出した原因とされる。尤も、ニュ―デリ―では路上生活者(ホ―ムレス)がたくさんいるので―その影響がはるかに大きいの批判もある▼大雪の悲劇では八甲田山が忘れられない.青森歩兵第5連隊210名の部隊が八甲田山を踏破すべく出発したのが明治35年(1902)1月23日。予定では1泊2日で目的を完了だったが、行軍の途中から記録的な豪雪に襲われて道を失い雪の中に閉じ込められる。無事に生き長らえたのは僅かに11名。実に199名の死者を出した悲惨な事件だった▼これは新田次郎の「八甲田山死の彷徨」で知られるようになったが、一般的には「死の行軍」として語られる。この訓練は、日露戦争に備えてのものだったとされるけれども、あまりにも無謀だったの謗りは免れまい。雪は一見すると美しい。けれども、恐いものなのである。 (遯)
06/01/14