2006年1月18日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】誰もが新年に新しい抱負を抱いて歩みだす。ブラジルでは、抱負に先駆ける投資をカニに例える。二歩前進し、三歩脇へずれ一歩後退するから。低レベルの投資は、飛び立ってもすぐ落ちるので鶏の羽ばたきと呼ぶ。
地理統計院(IBGE)の発表では、〇五年第1四半期の投資が昨年同期比で僅か一・二%増とした。ブラジルは、貧乏国なので貯蓄が少なく投資も不調というのが口癖だ。貧乏人は稼いだだけ食べてしまい、貯蓄も投資もしないという考え方が支配的である。
ところが中国を見ると個人当たり所得は、僅か年間千百ドルである。月間収入は、平均六十ドル。十三か月目給料もボーナスも有給休暇もFGTS(勤務年限保障基金)もない。しかし、収入の三八%を貯蓄する。
中国政府は、貯蓄資金で工業生産の二〇%を投資している。アジア諸国全体では、国内総生産(GDP)の三〇%を貯蓄投資で賄っている。これで貧乏人は投資できないという考えが、間違いだといえる。
貧乏は投資できない理由ではなく、文化の相違が投資をさせないといえる。この貯蓄文化は、カニの踊りで説明ができない。ブラジル市場は、一億八千万人の消費者を抱える有望な大市場なのである。
所得の分配不備や社会疎外者の問題もあるが、市場の発展が有利な投資回収に結びつかないのだ。数々の障害があるから。高金利や重税、偏った富の分配、インフラ不備、低率経済成長、通貨高、裁判制度の不備、公共料金の基準不具合などが原因である。
政府は公共事業で資金不足ばかりを嘆くが、投資金受け入れ態勢の不備には触れない。運輸省は国道を穴だらけにしながら予算の半分も使わず、宝の持ち腐れにした。官民合資法(PPPs)は内容が整わず、掛け声ばかりで動かない。