かつてはコロニアの著名人士も訪れたビアジャンテの新年会。出席者の多くが二十代前半に仕事を始めている事を知り、少し意外な気がした。
二十四、五の「若僧」が旅先で地方の名士と語り合う、その様子を想像するとどこか可笑しい。
「一国一城の主」。世話人の橋浦さんは「ビアジャンテ気質」をそう表す。その自由な雰囲気は会当日にも感じられた。
宴たけなわで、すっと席を立つ。その去り際は、旅先で行き会った仲間が次の行先に向かって旅立つようにも見えた。
会場に二世の元ビアジャンテの姿があった。八四歳の彼は戦中から、ジュキア沿線で魚の乾物など商っていたという。
「ビアジャンテ・エ・ボン」。杖を片手に去る男性の言葉に、懐しさだけではない、満足感のようなものを感じた。記者が生まれるずっと前、各地を渡り歩いていた男性の姿を想像した。(ま)
06/01/18