2006年1月19日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】大統領選に向けて各政党では思惑が交錯する中で候補者選びに拍車がかかっている。そうした中で、出馬の態度を表明せず保留の姿勢を続けているルーラ大統領が十七日、不出馬とも取れる発言をして注目されている。
大統領は同日、五十五連邦大学の総長と教育省役員の年頭懇談会で演説し、「来年は(大統領の地位に)とどまらない」として出席者の注目を浴びた。大統領が教育は永劫なものだとした上で、誰が大統領になろうとも推進すべき重要課題だと述べた後に前述の発言となった。
これに対し出席していた総長の大半は、大統領の不出馬の意思表示と受け止めたが、一部では出馬はするものの敗北を想定しての発言だと見る筋もある。大統領報道官はこれに対してコメントを避け、大統領が三月中に意思決定をするとの、これまでの見解を繰返すのにとどまった。
関係者は、野党側とくに意気軒高なPSDB党に対抗馬の焦点を合わせないための撹乱作戦だと見ている。さらに十六日に大統領がテレビとラジオで行った政見放送で、PSDB党が大統領発言を非難していることをかわすための発言だと受け止めている。
一方で、PSDB党は、ルーラ大統領とは対照的に選挙ムードが高まり、党内団結に向けて歩を進めている。セーラサンパウロ市長は十七日、市内のホテルで国内の党所属市長や党幹部との昼食会を開いた。席上、同市長は党の一枚岩を強調、政権奪回に向けて激を飛ばした。
アウクミンサンパウロ州知事は同市長が党公認候補として指名された場合、運動員の一人として旗振りをするとの決意を表明した。
PSDB党は、大統領が十六日に行った政見発表で、IMFへの融資前倒し返済や現在行っている国道修復に絡み政府および与党を賞賛したことに終始したのは、選挙違反だとして連邦選挙裁判所に提訴したことを明らかにした。