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南大西洋条約機構設立を提唱=南米同盟に花が咲く=伯亜ヴェ三首脳の梁山泊=チャーベス節おしまくる

2006年1月21日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙】伯亜ヴェ三か国の大統領は二十日、ブラジリアのグランジャ・トルト大統領別邸に集まり南大西洋条約機構の設立を協議した。「NATO南米版」機構は、南部地域の経済と社会福祉の強化を目的とする金融活動を主体とする。また三か国は、南米地域のために軍事産業の勃興と専守防衛戦略で同盟関係を結ぶことにした。目玉にカリブ海のヴェネズエラ海域に広がるガス大鉱床に二百億ドルを投じて、ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、チリに供給するパイプライン建設構想を打ち上げた。
 伯亜ヴェ大統領は、南米銀行の設立発起人となった。初仕事が二百億ドルを投じて建設するガス・パイプラインと軍事産業の勃興。とかく米政府の内政干渉が、うとましい国際金融組織依存からの独立を意図したと見られる。
 戦略的構想は、チャーベス大統領が下書きをした。同構想についてはペトロブラスの総裁や専門家が招かれていないし、技術的よりも戦略的な色合いが濃く、ルーラ大統領はコメントを避けた。チャーベス大統領提唱の南大西洋条約機構は、NATOを雛型として南米版を設立するという。アモリン外相は、時期的に適当でないと述べた。
 三か国は、南米地域統合の梃子となる。NATO南米版の次回会議は三月十日、アルゼンチンのメンドーサで行われる。当日は、チリのバチェレ女性大統領の就任式前夜である。チャーベス大統領は米政府の牽制球を前に、南米同盟の発足に自信満々。
 構想の一つ、南米銀行の設立に伯亜両大統領は合意した。政治的には、サイは投げられた。ブラジルとヴェネズエラ、アルゼンチンの外貨準備高を半分、同銀行の資産に振込めば一千億ドルが集まる。名実ともに本当の独立を期することができると、チャーベス大統領はいう。各国の中央銀行総裁が集まり、具体化会議の開催も決めた。
 全長一万キロのガス・パイプラインのプロジェクトは、七月までに総工費計算や設立会社インフラを確定し始動するという。プロジェクトは、ブラジリアでボリヴィアとペルーとのパイプラインをも結ぶ。このパイプラインは、南米枢軸のシンボルとされる。
 投下資金は、五年から八年で回収する。原油高騰でガスも便乗引き上げされ、回収は容易という。チャーベス節は、伯亜大統領に発破をかけた。余剰資金があったらガス・パイプラインに投資せよ、両国の未来が約束されると。
 パイプラインの沿道にガスを主原料とする工業団地を建設し、雇用促進に心がけるよう同大統領が呼びかけた。伯亜ヴェ三か国は自動車燃料にガスを消費し、ガソリンは輸出するよう提言。ブラジルは二〇年、代替燃料で百五十億ドルまたは四百万バレルの原油を毎日節約するという。
 ヴェネズエラが参加したメルコスルは、庶民や先住民、学生、労働者、各種団体にも開かれた新メルコスルだとチャーベス節はまくしたてる。発言のチャンスを与えられなかったパラグアイやウルグアイも参加するメルコスルでなければならないというのだ。