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(外務省)伯製航空機禁輸に抗議=米の措置は言語道断=ヴェネズエラ向け商談に横槍=米に逆行し南米左傾化

2006年1月24日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】エンブラエル社製の練習用航空機三十六機をヴェネズエラへ売却することを米政府が禁じたことでアモリン外相は二十一日、我々の労苦の積み重ねを踏みにじるものと、強く非難する声明を発表した。米政府の売却禁止理由は言語道断で容認し難く、今後の國際ルールへの配慮を欠くものとした。外相はライス米国務長官に、世界貿易機関(WTO)で裁判沙汰を起こすことなく、再考を促す折衝に入った。ガルシア大統領外交顧問が先に、政府はエンブラエル社の営業問題にちょっかいするべきでないとした発言に、外相は触れなかった。
 航空機の売却禁止決定の打開で外相は、再考要請の公文書を二度送った。ポートマン商務長官にも、善処の要請をした。しかし、米国務省の説明は、外相を納得させなかった。外相は記者団に、エンブラエル問題を次のように説明した。
【売却禁止再考に関する国務長官の回答は】安全保障の観点から同問題へ譲歩の意向はなかった。ブラジル政府へ便宜を図る意向はあるが、米政府のヴェネズエラ対策は、米国とヴェネズエラ二か国間の問題として対処する考えらしい。
 回答内容は、従来の路線を強調しただけで説得力がない。再度の再考要請には、応じる感触があった。見通しに楽観は許されないが、変化はある筈。
 再考要請には次のことを強調した。売却禁止措置は、第一にブラジルの貿易に損害をもたらす。第二に売却の航空機は、戦闘機ではない。第三はヴェネズエラが、軍事的にいかなる国へも脅威をもたらさない。第四に同国が国際的経済制裁の対象ではないし、米議会も憂慮していない。第五にエンブラエルとは、無関係の理由で禁止措置を採った。以上の理由で米政府の対処は、お門違いで今後の伯米関係に悪影響を及ぼすと判断した。
【米ヴェ関係が、ブラジルに及ぼす影響は】現状は、ブラジルにとって好ましい状態ではない。しかし、両国間の確執は、両国が話し合うべきこと。ただ、我々の労苦が、無視されたのは心外である。米ヴェネズエラ問題の尻拭いを、ブラジルにさせている。
【南米は左傾化したか】左傾化は、社会改革を優先する自然の流れで世界的傾向でもある。社会改革と民主化を進歩と見なすなら、左傾化は正解である。
【米政府の意向に背いてまで主張する主権とは】米国は活力源であり大市場である。誰も米国に背を向けることは、中国でさえしない。しかし、米国の傍若無人な振舞いからは、当然防衛する。米国の一方的な二元論は、無理がある。
【チャーベス大統領の雄弁術に対する感想は】各国には各国の立場と事情があって、それに応じた話法があり雄弁術とは違う。チャーベス大統領は、パニックを克服した。それに対する評価は、歴史が行う。
【ブラジルにとってモラーレス・ボリヴィア大統領は何か】彼は底辺からはい上がった農民出身者で、最も庶民的な代表として意義がある。これまでの低所得者即犯罪人とした既成概念に挑戦するものだ。
【グローバル化の中で敵との貿易を、どう扱うのか】グローバル化は貿易問題だがイデオロギー問題でもある。しかし、イデオロギーと社会福祉は、はっきり区別する。どう社会福祉を位置付けするのかイスラム圏の指導者を招き二十七日、伯亞ヴェ首脳と協議する。