2006年1月25日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】スイス・ローザンヌで世界経済研究所を主宰するジェアン・P・リーマン教授が、海外進出に意欲を燃やすブラジルのために「リーダーになる条件」を寄稿し、内部のほころびから整理を始めるよう提言した。二十一世紀の新しいリーダー、ブラジルに世界の発展途上国の窮状を代弁する代表として期待していることを同教授が表明した。
國際貿易交渉の舞台でセウソ・アモリン外相の活躍は、注目に値する。小さな体で温和な話運びと知識人を思わせる風貌は、世界貿易機関(WTO)カンクン会議の主役としても貫禄があった。
同会議と香港会議は國際貿易のW杯といわれ、イエスかノーかでたたみこむ同外相の気迫は、老練の外交官である。ブラジルは二十一世紀の初期十年、二つの牙城に挑戦する。ブラジルのイメージと現実だ。
先ずイメージは、遠慮しないで國際貿易のリーダーを名乗ること。サッカーとサンバのように溢れる自信を発散すること。ポルトアレグレとダヴォスへ出席し二刀流を使い、矛盾する二要因を包み込んだのはルーラ大統領だけである。
冷戦の終焉を迎えた九〇年代、グローバル経済の中で日米加EU四か国は足並みが乱れていた。先進四か国は、グローバル経済の構築よりも自国の産業保護を優先した。最早、先進国の面影はなかった。
四か国は國際貿易推進の改革を唱えながら、農業問題では故意にとぼけて素通りをした。農産物の市場開放が切実な問題として切迫するにつれ、補助金制度でごまかそうとした。
EUなどは農業ばかりでなく、年金や医療、教育などで見合う経済力が伴わず内部崩壊が進行していた。莫大な農業補助金と補助金でカモフラージュをした輸出農産物は国際的刑事犯罪である。しかし、政治家は票田を守るため、農業者保護に固執した。
グローバル経済は力あるリーダーを必要とし、それなくして前進しない。ブラジルはその挑戦者として相応しい。他の協力国と同盟を組み、先進国に圧力を掛けながらまとめることだ。G20は、良い試みだから成功を祈る。
グローバル経済の中でブラジルが、どんな目で世界から見られているか知る必要がある。恐らくブラジルは、國際信用の点で壁に当たる。WTO会議でブラジルが農産物の市場開放を要求するたび、先進国はブラジルの大地主制度を陰で批判した。
ブラジルが要求していることは、貧乏な小農を犠牲にした大地主のわがままだという。二言目には貧乏国代表というが、ブラジルは貧乏国ではないと矛盾を突いた。農産物の市場開放を強要し、ブラジルが大儲けをする腹がミエミエだと先進国が呟いている。
米国とEUはブラジルが何を企み、どんな役割を演じようとしているのか真意を理解していない。米国もEUも狡猾な国であり、全盛時代はエゴを押し通し、自国ばかりでなく世界へも迷惑をかけた。
ブラジルが挑戦する二つ目の現実は、南米のために世界のために何をするのか。ブラジルが抱く未来のビジョンは何か。ブラジルが人類に何をもたらすのか。これは世界が、ブラジルに要求する現実である。