失業対策の隠れ蓑=法の不備が生むアングラ市場
2006年1月25日(水)
【ヴェージャ誌一九三五号】サンパウロ市街を埋め尽くす露天商とアングラ市場にまつわる犯罪は、軽視できない。先ず脱税に始まり知的所有権の侵害、盗難積荷のマーケット、偽造品販売、密輸品販売。市街公有地の違法使用やモグリのテキ屋などは、小さい。
国家経済の見地からいえば、悪貨による良貨の駆逐である。アングラのゲリラ商法に攻撃を掛けられたら、まともに税金を払って商店は営業が成り立たない。ゲリラは陣地を造らないので、変幻自在なので取り締まりようがない。
アングラのメッカとされるヴィンテシンコ・デ・マルソ街は、そのバイタリティたるや取り締まり監督官の比ではない。同街のアングラ月間取引高は、六億レアルに達する。この金額は、ブラジルソニーの年間販売額に相当する。
国税庁もアングラ対策には、処置なしとお手上げ。連邦と州、市、軍警などの合同作戦計画はあるが、アングラ経済の壊滅は不可能と見られる。徹底作戦でできるのは、無力な母子家庭から生活の手段を奪うのが関の山。とかげのシッポ切りしかできない。情報網が完備しているアングラ組織は、官の上を行く。
アングラ組織は、想像以上に緻密周到な犯罪社会である。取締官が商品の押収などで強行作戦を執るが、押収用の下級商品が用意されている。押収される数量も、計算に折込済みとされる。国際的組織が、アングラ経済を背後で支援している場合もある。
市は失業者対策のため、露天商に秩序を乱さない範囲で一定の枠を与えている。しかし、そこへ盗難品を持ち込むと、ことは複雑になる。それでも、露天市が犯罪組織と消費者の接点になることは避けられないと見られている。
セー地区には、六千の無許可露天商が営業している。失業者が内職で作った手芸品販売から組織の保護を受けた違法販売もある。市は日中の雑踏を避け、午前三時から八時の朝市営業を試みた。アングラの完全壊滅は無理だが、無法状態は少し整理された。
露天商ばかりでなく一般商店の密輸などの違法販売に国税庁は介入し、七百社を営業停止に追い込んだ。しかし、営業停止や商品押収だけが能ではない筈。税法の簡略化や減税、労働法の改正、閉開業手続きの簡素化、裁判のスピード化、不罰特権の廃止などの法整備が急務ではないか。
アングラ経済の解決策として、スペイン政府の例が挙げられる。スペインはデータバンクから適切な税率を割り出したことで、零細小企業の税収を七五%も増収した。企業は適応される税率を選び、営業の規格化を行うことができる。労働法も簡略化し、雇用と解雇を容易にした。
脱税の五大産業といえば、ビールと飲料水、タバコ、燃料、製薬とされる。脱税総額は、年間八十億レアル。さらに非正規社員の厚生福利負担金と偽造品、密輸品を入れると、年間千六百億レアルと見られる。もしも、この金額が国庫に入るなら、税金はいまの三分の一が不要になる。