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CNI、チャーベスを歓迎=メルコスルをかき回させるな

2006年1月25日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】全国工業連盟(CNI)は十五日、ヴェネズエラのメルコスル加盟によってGDP(国内総生産)が七・七%増、人口が一一・六%増、反面個人当たり所得が三・四%減となり、ブロックの経済ペルフィルが変わるという見解を発表した。
 一部関係者が懸念するような心配は全くないし、メルコスルを南米の英雄ボリバルの精神を売り込む場所にするという憂慮をCNIは黙殺した。まだチャーベス大統領と腹を割って話してないようだが、ヴェネズエラがメルコスル協定を容認すればよいこと。
 加盟すれば勿論、協定順守とブロックの通商と経済ルールで協調することになる。伯亞両大統領はヴェネズエラの早急加盟のため協定に特別一項を設けることで合意した。しかし、それでヴェネズエラ政府だけが特別義務を免れるわけではない。
 ヴェネズエラが、メルコスル加盟国に市場を開放する時期などについて当然忌憚なき意見を交わす。しかしブラジルがヴェネズエラから欲しいものは、今のところない。ヴェネズエラがこれまで属していたアンデス協定は、複雑で現実性に乏しい内容である。
 ブラジル市場は、すでにヴェネズエラに対し充分開放されている。これ以上の開放は、両国市場の均等開放を打ち合わせるのが先である。石油が自給体制に入ったブラジルは、ヴェネズエラの石油をあまり必要としていない。
 ペトロブラスとヴェネズエラがペルナンブッコ州に合弁で建設中の精製所が竣工する五年後、ヴェネズエラの原油が必要になるだけ。オレノコからパタゴニアまでガス・パイプライン架設計画やヴェネズエラ電力の北伯への送電計画がある。しかし、チャーベス大統領のメルコスルへの関わり方にかかっている。
 チャーベス大統領は、ブッシュ大統領と米政府をヴェネズエラの敵と宣言したので、近隣諸国は火消し役を余技なくされる。米国が関係する全ての協定や条約には、真っ向から反対すると同大統領は公言した。この言質には、廃止案を提唱したFTAA(米州自由貿易圏)も抵触する。
 しかし、チャーベス大統領は、いうこととやることが違う。米国はヴェネズエラ石油の最大輸入国であり、同国輸出の三二・二%を米国市場が消化し、二百四十億ドルの対米貿易黒字を出している。
 そんなわけでメルコスルを、チャーベス大統領の思うがままにかき回せてはならない。メルコスルの通商問題ばかりでなく政治問題にしても、チャーベス大統領のペースで物事を決めるなとCNIはいう。