2006年1月27日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】下院は二十五日、一般諸税や厚生福利引当金(INSS)などを含む単一総括税の導入を、賛成三百四十二票対反対百十五票で可決した。同法案は六か月前にも上程され、暫定令により十一月発効の予定とされていた。しかし、大統領府から最終案が議会に提出され、二十五日可決の運びとなった。同案から審議の余地ありとして十三か条が除外されたため、全面承認とはならなかった。同最終案は二十六日、上院へ回される。政府は総括税に関する同法令が、脱税防止に役立つものと期待している。
総括税法案の承認により、税金を全て一括受領する機関が設けられる。特にこれまで政府を悩ませた厚生福利引当金(INSS)の徴収は、前進が期待される。今回除去された十三か条は、修正と再審議のあと表決に付す。
同法案は〇五年暫定令二五八号で発効するはずであったが、期限の百二十日間に承認へ至らなかった。
国税庁と社会保障院は七月、すでに予算管理で合流し一局体制をとっていたため、関係省庁は資金管理に混乱を来たした。
暫定令が期限切れとなった時点で、大統領府は税制の統一体制見直しを余儀なくされた。〇五年末、統一税制を草案で議会へ提出した。修正されたのは、公務員の年金額保障と大統領指名の国税庁長官と社会保障院総裁が上院の承認を得ることであった。
この両人は、全税収の九〇%に関与する。また統一総括税が機能すると、州や市への地方交付税を含めた六五%が、スーパー税総括局の手中に入る。そのため国家財政に対する国庫庁の責任は、重大となる。
統一総括税の可決でつまづきの石となったのは、特権意識に固執し総括扱い税制に反対した公務員労組のロビストである。政府代表と公務員労組は、同法令に公務員を特別扱いすることで一戦を交えた。
公務員には国税庁技官のように名目だけの肩書きで、同行により何もしないのに特別手当てだけを貰う便乗組が多い。単に格好をつけるため、給料に差を求めるアナリスト技官のような階級職もある。大統領府は法務省の介入を見込んで、数々の特権を切り落とした。この類の公務員特権には、何らかの省令が必要と政府はいう。
公務員労組にも、良識者はいる。一本化を試みる税制改革に反対すると、第二列へ組み込まれるという。第二列は、零細小企業の経営者や一般労働者の年金へ編成されることである。
統一総括税の発効とともに、国税庁のメスが入るのは経済特区である。マナウスやロライマ、アクレ、ロンドニア、ブラジレイア、タバチンガ、マカパ、パカライマ、ボンフィンなどの特区税制恩典を利用して脱税に専念する企業が、南東部に多数ある。これら企業は、食品や電子製品、製薬、自動車関係、卸商に多く、脱税の他に司法制度にも抵触している。
経済特区で行われている違法行為は、幽霊会社または見せかけ会社を設立し部品納入や製品の偽装販売を行う。幽霊会社は工業税(IPI)や流通税(ISMS)、社会統合基金(PIS)、社会保険納付金(Cofins)などの免税特典を得、全国で営業をしている。