2006年1月27日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】最低賃金調整で協議を重ねてきた政府と労組代表者は二十四日、四月から三五〇レアルで実施することで合意に達し、政府が決定を公式に発表した。国会での議決による承認を受けて実施の運びとなる。
政府と労組側双方はお互いの思惑がからみ、これまで二ヶ月間にわたる長丁場で協議を繰り返してきたが折衷案をとることで妥協した。
これにより最賃は今回、引き上げは一三%となり、ルーラ政権四年間での調整は二四・七%となった。双方の当所の思惑はかけ離れていたが、労組委員長を歴任してきたマリニョ労働相が歩み寄りの労の取ったのが功を奏した。政府は今年度予算に盛り込んだ三二一レアルを五月に実施することで押し通そうとした。
これに対し労組側はルーラ大統領が選挙に掲げた「最賃倍増」が果されていないことを理由に三五〇レアルで三月から実施を主張してきた。とくに三五〇レアルの線は一歩たりとも引けぬとの強硬姿勢を崩さなかった。これに対しマリニョ労働相は金額で譲歩し、あとは実施時期が焦点となった。さらに五月実施を主張する政府に、労組側はならばと三六〇レアルを要求。結局は政府が折れて四月から三五〇レアルで落着いた。
労組側のフォルサ・シンジカルのパウリニョ委員長は「一〇〇%満足とは言えぬが、一九九五年以来の大幅アップで交渉は成功した」と満悦気味だった。マリニョ労働相は、大統領公約に及ばぬが購買力が倍増することで公約遂行に等しい結果になったと語った。
政府決定は下院の議決が必要だが、関係者は今年が選挙の年であり、労組に対して反対の立場を取る議員は少ないと見ており、承認を楽観視している。ただ政府は昨年上院で最賃を三八四レアルとする承認がされながら下院で現行の三〇〇レアルに反対決議された経緯があることから、閣僚クラスが野党と根回しすることを決めた。
一方で全国市長連盟によると、約一〇〇〇市が財政難から最賃引き上げによる職員の昇給が困難で悲鳴をあげているという。各市では法令で、人件費は市収入の五四%までが上限となっているのが足かせになっている。同時に政府と労組側が進めてきた個人所得税の引き下げ交渉は労組側が一〇%、政府が七%で並行していたが、結局八%で合意に達した。