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社民主義はブラジルを救えない=理想主義はアソビ=低成長期は自由民主主義で

2006年2月1日(水)

 【ヴェージャ誌一九三九号】「白馬の騎士」として知られるエコノミストのパウロ・ゲデス氏が、ブラジルは社会主義よりも資本主義を必要としているという。社会主義は、ブラジルの低所得層まで発展させるだけの力がないが、資本主義は富を再分配できる。ブラジルでは、所得の低下と金利の上昇を資本主義の責任にする。中国では資本主義を、よいことだと称賛する。同氏は数々の構造改革を提唱したが、採用されることは殆どなかった。同氏はシカゴ大学で経済学博士号を取得し、ブラジルの新世紀経済研究所創立会員として活躍。
 以下は同氏とのインタービューである。
【リベラル派エコノミストとは】民間のパワーを信じる派をいう。歴史を振り返るなら二千五百年前、ギリシャのアテネで始まった。市場とは、社会を経済に取り込む最大のメカニズムと考えた。自由民主主義とは社会を形成する過程と考えた。民主主義と市場は、文明の二本柱である。
【なぜリベラルとネオリベラルが、ブラジルで問題になるのか】問題はブラジルがすでに四十年の社会民主主義の経験を持ちながら、国内総生産(GDP)の四〇%を政府経費に使うのでネオリベラルの功罪とした。いっぽうで何かうまく行かないと、リベラルの功罪と水掛け論になる。
【これまでの公社民営化や市場開放、財政責任法、財政黒字などの評価は】ある程度の成果は認める。フラガ前総裁の為替変動制やパロッシ財務相の通貨安定は、評価できる。しかし、政府は公社に六百億ドルの出資金を有していたが、六百億ドルの借金を作ったため、差し引きゼロにした。
 社会民主主義としては正しいかもしれないが、現代の経済システムでは無能に等しい。インフレ撲滅と為替変動制への移行に二十年を要した。今日の経済学では、許されないことだ。
【ブラジルが成長しないのは、そのためか】ブラジルは三十年間、居眠りをした。スタグフレーションは、軍政時代に失われた免疫性の後遺症である。成長しない最大の原因は、肥大化した政府とその浪費である。政府は経費を管理しないから、高金利で金を集める。高金利は中銀の責任ではなく、政府経費の放漫歳出のためである。
 グローバル時代では、構造改革が第一。社会主義は、のろくて何の改革もできない。世界はブラジルのノロノロ政治を待ってくれない。再民主化の波は、軍政を倒したように社会主義をも倒す。そうしないとグローバル化に着いて行けない。全てのブラジルの悲劇は汚職も含めて、政府の浪費に原因がある。
 フランスに始まった階級闘争の原因は、政府の債務にあった。政府経費を食い物にして私腹を肥やす者が政府要人も含めて多数、政府機関に寄生した。マルクスは、汚職を政府浪費の落とし子といった。これはブラジルの社会主義に科された宿題である。解決するのに二十年は必要ない。
【所得格差の是正を、どう考えるか】必要だが、社会主義者の格差是正ではない。自由民主主義と社会民主主義は、見方が違う。前者は富の創造を優先し、後者は富の分配を優先する。二%の経済成長なら自由民主主義に任せ、六%であったら資金的に余裕ができるから、奨学金や生活扶助金など社会民主主義に任せる。ブラジルは、まだ二十年を自由民主主義に任せるべきだ。
【グロバリゼーションの敗者は】それは、物の見方による。グローバルの波に乗った国は、所得が向上する。ブラジルや米国の所得が低下した一方、中国は所得も雇用も向上した。こんな見方をすると、資本主義国は敗者だ。しかし、総合的に見ると米国の所得は三十ドル低下し、中国人労働者百万人の所得は一ドル向上した。こう見れば資本主義は、富の再分配を励行したことになる。ブラジルにいると、所得低下と金利上昇しか見えないものだ。

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