2006年2月1日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】PSDB(民主社会党)の党公認を競ってアウキミンサンパウロ州知事が先手を打ち、セーラサンパウロ市長は遅れをとってヤブの中に潜んでいるようだ。
セーラ市長は十六日、皮革製品展に臨んで、政府が為替政策の責任を取れと訴えた。そして、輸出業者を為替差損から守るため為替保険の設置を提唱した。同市長は産業界へ乗り込み、セーラ支持票取り込みのつもりらしい。
同市長がドル安を非難するとき、輸出業者は市長の為替政策を聞いて苦笑した。為替責任という意味は、中央銀行や国庫庁のドル安阻止努力とは関係なく、政府は為替に対し無責任ということらしい。
市長ならドル安阻止のために、どんな手を打つのか何も言わない。一部エコノミストが提唱するように、基本金利を下げれば、ドルが上がると市長も思っているのだろうか。
輸出増加の結果、為替をどうしたらよいのか。仮に輸入を緩和しドル購入を促進させ、貿易黒字を縮小したらレアルは下がるか。固定相場制には保険は不要だから、変動制には賛成らしい。しかし、為替ヘッジ取引を知らないようだ。為替保険のために、為替ヘッジ取引がある。
逆説的にいうなら、セーラ市長は知事に遅れを取るばかりでなく、虎視眈々とする他候補にチャンスを与えている。同皮革展には、フルラン産業開発相や中銀の理事も列席した。産業開発相は、市長の為替論の未熟さを指摘していった。「知っている者は実行する。知らない者は教えたがる。実行しない者は批判だけで、何もしない」と。
ブラジルという舟を漕ぐのに、どんなカイで漕ぐのか市長は説明したほうがよい。そうでないと、アウキミン知事に負ける。