ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | (イラン核開発)IAEA管理で国連支持=制裁に神経尖らす=核、他山の石ではないブラジル=イスラム圏へ欧米の圧力

(イラン核開発)IAEA管理で国連支持=制裁に神経尖らす=核、他山の石ではないブラジル=イスラム圏へ欧米の圧力

2006年2月4日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】國際情勢の新しい火種になりそうなイランの核開発問題で政府は二日、IAEA(國際原子力機関)の管理下に置くという案を支持することで安全保障理事会への提議に同意を表明した。アモリン外相は二日、同案にはイランに対する制裁措置の項がないことで、政府は納得したと説明。さらにイラン政府への通告文書には、平和目的の核開発を認めることが特記されている。イラクの大量破壊兵器有無の探索を行ったブリックス国連代表は、欧米諸国がイランに対し圧力をかけたり、すでに核兵器を所有する北朝鮮に交換条件を提示するのは誤りだと述べた。
 IAEAは、国連のもとで核エネルギーの平和目的利用を管理する機関である。ウイーンに本部を置く同機関は二日、ブラジルを含む三十五か国代表を招き、安保理へ提出するイラン対策案をまとめる緊急会議を召集した。
 イスラム圏の動静が緊迫する中イランは一月、濃縮ウランの研究開発を再開したため核兵器製造の疑いを持たれた。そのためIAEAは、緊急会議を召集。IAEA案に対し、シリアやキューバ、ヴェネズエラなどが反対票を投じるものと予想されている。
 英米仏露中など安保理を形成する五か国は、国連の最高裁のようなもので國際ルールに従わない国には制裁措置を下す権限がある。それで今回、イランがその対象となった。
 アモリン外相は英仏独提出の三か国案に、ブラジルが推奨する案も含まれていることを確かめた。核開発には、ブラジルを始め南アフリカ、インド、アルゼンチンも関心を持っている。これら諸国は、イランに対し非制裁を公式に認めるよう希望していると、外相は三か国へ提案した。
 不明瞭な表現を避け、非制裁が明確に保障されるなら、IAEA案支持はやぶさかではない。「非制裁」の文字を省略すると、事態は異なる。提議がブラジルの理解した通りであるか、ブラジルの提案は受け入れられるのか確かめる必要がある。緊急会議が妙な方向へ進むなら、ブラジルは棄権する可能性がある。
 外相の見方では、IAEA案が安保理にとって単なる参考に過ぎない可能性がある。イラン問題では信頼できる筋を通し、外交圧力を掛ける必要があると見ている。ブラジルが特に要求するのは、イランの国家主権である。
 平和目的であれば、濃縮ウランの研究開発であっても国連は認めるべきだと、アモリン外相はみる。この項は核拡散防止条約(TNP)でも明確に認められ、イランも加盟した。だから平和利用を謳っているイランは当然、核開発の権利があるはずと強調した。
 核開発研究中の国が報告の義務を怠り、他意の嫌疑を掛けられたら、信用回復の期間を設けるべきである。その後に制裁が待っていることを、認識させるべきと外相は述べた。
 イラン政府は核設備の臨検を行うことを容認し、その後で濃縮ウランの研究を続行するという。イランが疑惑の対象となったのは、十八年間も秘密裏に核の研究を行っていたことだ。さらに注目されたのは〇五年十二月、アマジネジャ新大統領のもとで強硬政策を打ち出したことである。