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豆腐食中毒死が波紋=東洋人街の食品店が営業停止処分に=「どうしてうちが?」=サンパウロ市衛生局=抜き打ち検査実施

2006年2月4日(土)

 サンパウロ市衛生局の関係者は三日、中国人女性が昨年末に豆腐が原因とみられるボツリヌス菌食中毒で死亡したことを受けて、日本や中国の食材を売る店が集中するリベルダーデ区の食料品店を抜き打ち検査、日系人客に親しまれているエスツダンテス街42の「東洋食品店」を「清掃の必要がある」として営業停止処分にした。感染源と疑われる豆腐はしかし瓶詰めの中国製で、別の商店で販売されていたものと判明している。「どうしてうちまでが?」。突然の命令に、「東洋食品店」の女性店主は困惑の表情を隠せない。
 三日正午ごろだった。市衛生局の四人の女性が「東洋食品店」に来店し、あわただしく検査を開始した。
 「店頭に野菜を陳列しているのは不衛生」「在庫品の保管状況が悪い」
 衛生状況を問題視。「きっちり掃除がするまでは営業を認めない」。その場で一方的に営業停止処分にした。
 女性店主は「いきなりきて掃除しろ、閉めろといわれても。弁当や野菜の卸業者の人もみんな泣きますよ」。涙目で訴えたが、聞き入れられなかった。
 同店は約二十年前に開店。さまざまな日本食品を購入できるうえ、親切な応対で知られ、多くの日系人顧客に親しまれていた。営業停止処分を受けたのはこれが初めてという。
 営業再開は七日以降になる見込み。清掃完了後、再度検査が行なわれ、その際に判断される模様。
 リベルダーデ区の食料品店を対象にした衛生検査が突然実施された背景には昨年十二月、豆腐が原因とみられる食中毒でサンパウロ市の中国人女性(74)が死亡したことが最近の報道で明らかになり、波紋を広げた事情がある。
 さらに強い毒素を持つボツリヌス菌が豆腐から発見されたのがブラジルでは初めてのケースだったことも、日本や中国の食材を扱う商店の衛生に対する警戒感を強めたとみられる。
 ただ、感染源と疑われているのは中国産瓶詰め豆腐で、販売していた店は同区駅前広場の「東亜食品公司」であることがすでに判明、一日で営業停止処分になっている。
 衛生局関係者は三日、同区で営業する日本や中国の食材を扱う商店はすべて検査したと主張。
 同日夕方時点で唯一処分を受けた店となった「東洋食品店」の女性店主は「うちでは中国製の瓶詰め豆腐は売っていないのに。どうして」と落胆。
 従業員が突然シャッターを下し、「掃除のため休業」と書いた紙を張り出すと、行き交う日本人買い物客がつぎつぎ立ち止まり、「何かあったの?」と、問い掛ける姿もみられた。