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上院=為替法の改正案審議へ=決済の自由化目指し=ドル安への無策に国会動く

2006年2月10日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】カリェイロス上院議長は八日、自由化に向け現行の為替法を改正する案を上程し、議会で審議することを決定した。長期間にわたるレアル高ドル安傾向に対し、輸出のメリットが減少して国内経済の危機を招きかねない事態に直面しているとした、サンパウロ州工業連盟の提起に同議長が賛同したもの。同議長も従来から中銀が牛耳っている金融政策に批判的で、ドル安に対する政府の無策を指摘し、国会審議に踏み切った。
 改正案の骨子は主に為替決済に関わるもので、国際経常収支を重んじる中銀から分離して国家通貨審議会に権限を委譲するもの。これにより為替は金融から離れて国家経済指向型になるとしている。
 現行法では輸出の代金を二百十日以内にレアルに換金することが義務づけられているが、これを自由化する。これにより市場でのドルのダブつきがなくなり、ドル安防止につながる。
 さらに海外の債務決済のための送金の際にはいわゆるドルを買う必要があり、輸出で換金したレートより高くなって売り買い差額が生じる、為替差損によるコスト高のインパクトも大きい。このことから改正案では国内外の銀行に「ドル預金口座」を設けて輸出代金や債務の決済を行うことを提案している。
 ただし企業の脱税などを阻止するため、為替取組みなど従来の業務は継続させるとともに、口座の出し入れも厳重な管理下に置かれる。
 これらの骨子は同連盟の専門分科会で検討されたが、これに対し中銀筋では反発を示している。フランコ元中銀総裁はこれまで金融専門家が検討を重ねてきた数々の法令をないがしろにした上で、半世紀にわたった業務を一変するのは至難の業だと否定的な見方をしている。
 カリェイロス上院議長は細則の審議に今年上半期が費やされるが、下半期は選挙があるため年内の議決に持ち込むのは困難だとの立場を示している。
 サンパウロ州工業連盟筋では、為替取組みだけで昨年、六〇〇〇万ドルの赤字を出した企業もあり、早期改正が必要だとした上で、とにかく議会審議というキックオフにこぎつけたと喜びを表明している。