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「加速の年」にいきなり交代=百周年祭典協会=異例の2年半で4人目=組織の要 総務委員長 吉岡黎明氏が就任

2006年2月10日(金)

 ブラジル日本移民百周年祭典協会(上原幸啓理事長)が〇三年九月に発足してから、約二年半。その間、総務委員長に松尾治氏、小原彰氏、柳沼啓太郎氏が歴任したが、柳沼氏は先月十四日の会合で「個人的な理由」で離職を表明した。財務、企画、広報など同協会の総括的役割を果たし、組織の要となっている総務委員長が短期間に交替を繰り返すという異例ともいえる事態の末に、先日、四代目総務委員長に就任した吉岡黎明氏(69)に、その意気込みを聞いてみた。
 今年は加速の年に――。四日に開かれた百周年祭典協会の会議に西林万寿夫総領事が出席、協力姿勢を示した。昨年末にあったブラジル日本文化協会創立五十周年式典でも、堀村隆彦大使があいさつ(代読)のなかで「準備を加速するようお願いしたい」と強調していた。
 あと二年しか準備期間がなく、いいかげんにアクセルを踏み込んでほしいとの日本側要望ともいえそうだ。そんなタイミングで、要の総務委員長が退陣交代とは。サイドブレーキか、それとも加速のためのギアチェンジか。
 吉岡総務委員長は「ボランティアだし、給料もらっているわけじゃないから無理は言えない。そこのところを分かってもらわないと」とコロニアに理解を求め、「僕だって体調崩したら分からないしね」とも。
 一方で、その受任に懸念の声もあるようだ。現在、その責にあるのは、日本側と提携しながらデカセギ子弟の教育問題に取り組むNPO団体、文化教育連帯協会(ISEC)の会長、ブラジル日本文化協会副会長など、各々がすでに大役。
 さらに、約千二百会員を抱え、日系社会を代表する福祉団体である救済会の理事長就任が三月の総会でほぼ決まると見られている。
 「時間的に厳しいし、個人的にも辛いけど、スタッフもいるから。百周年に関しては、すでに決まっていることを引き継ぐだけのこと」と淡々と話す。
 今年予定されているシンポジウムの計画も進んでおり、アニェンビーでの式典の具体案を正式に決めることが目下の仕事、と表情を引き締める。
 祭典に協力姿勢のあるエスコーラ・デ・サンバを今年になって見学、「彼らが持っている行列などのノウハウは凄い。手伝ってもらえるのであれば心強い。山車もそのまま使わせてもらえるようだし」と期待を寄せる。
 四月に行われる百周年の理事長選挙に関して、「定款に従って実行されるだけで、僕が何か言うことじゃない」としながらも「個人的にはあと二年という時間のなかでトップが替わると難しくなると思う」と上原続投の考えを示した。
 主に一世から声が上がっている日本側の協力について、「日本は政府だけじゃないし、『箱モノは出来ない』とか言っている人は何を基に言っているのか分からない。個人だって企業だってあるはず」と、巨大ビル建設へのこだわりを繰り返し主張する。
 これから広報を通して発表していきたいと話す吉岡氏。近々発表できる予定として、式典費用などの予算計上を挙げ、「サンボドロモに関しては、無料貸与してくれることになりそうだ」と明かした。
 百周年事業のスポンサー探しや広報活動に大手マーケティング会社と近々、正式に契約を結ぶ予定があることも漏らし、百周年事業が総合的に進行していることを強調した。