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人口爆発の脅威続く=理想は20億人=アフリカでは3億人が餓死=ブラジル農業にはチャンス

2006年2月15日(水)

 【ヴェージャ誌一九四二号】人口学者のポウル・アールリッチ氏は一九六八年に著書「人口爆発」を発表して一躍有名となり、人口論で十八世紀に名声を馳せたマルサスの信奉者のように見られた。「人口爆発」では八〇年代に人口増加が食糧危機を起こし、多くの餓死者を出すはずだった。ブラジルなどの農業技術振興と品種改良により、予告は外れ餓死者は出なかった。しかし、人口爆発は人類に脅威をもたらしていることに変わりはない。同氏は地球が人類を養える限界にすでに達しているという。
 ブラジルは七〇年代、女性の平均分娩率は六人であった。それが現在二人に減ったのは、全般に教育水準が向上したためと思われる。インドでは三人の子息をもうけた男性は不妊手術を受けるよう法令を制定したので、社会秩序も整い、産業も栄え始めたと同氏は観察している。
 新しい脅威をもたらしている人口爆発が、グローバリゼーションの観点から見て、これからのブラジル農業に大きなチャンスをもたらすことになる。ブラジルを始めアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイは、世界から注目される穀倉地帯になると同氏はいう。
 以下は同氏との一問一答。
 【「人口爆発」で予告した、飢える人三五%が一三%に留まったのは?】予想を上回る農業技術の進歩と四〇%に上る増産が計算に欠落していた。しかし、アフリカ諸国などは予告通りの脅威が実在し、問題が解決したわけではない。
 アフリカでは過去三十年間に三億人が栄養失調で死亡した。ブラジルには優れた農業技術と豊富な在庫があるのに関らず、一方では餓死者と貧窮者がまん延する現象が起きている。これは人類がともに考えるべき問題ではないか。
 【なぜ富める国と飢える国ができたか】現在起きている異常現象で、国々は食糧在庫の調整に苦慮している。外国の食糧危機まで心配する政治家や学者は、どこの国にもいない。三角貿易システムによるブラジルの出番がここにある。
 【理想と思う人口数は】みんなが食べ、適宜な教育を受け、職を得て平和に暮らすためには、二十億人が理想である。人口爆発はある時以降減少が始まる。二十一世紀末には、世界の人口は八十五億人を頂点に減り始める。
 【人口の爆発と減少で心配な国は】長い目で見て米国。中国とインドに続く人口大国であるが、一人当たり所得で世界一である。三億人がコカコーラとガソリンを飲み放題使い放題で遊びこけている。消費水準は、世界の天然資源の消費許容範囲を超えている。
 【二〇五〇年には中国やインドが今日の米国にならないか】米国の経済水準に達することよりも、人口爆発と大気汚染、オゾンの減少によるエイズのような伝染病のまん延が心配である。
 【八〇年代に五種の金属暴騰を予言して見事外れたが、どう説明するか】五金属は人口の増加に伴う必需品であるが、シカゴの金属市場が振るわず暴騰には至らなかった。これはブラジルのサッカー選抜軍が、無名チームと戦って負けたようなもの。選抜軍は常勝軍であるが、無名チームだってまぐれ当たりはある。