2006年2月16日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】全国運輸連盟(CNT)が十四日に、大統領選への出馬が予想される候補者の支持率調査を行った結果、ルーラ大統領がセーラサンパウロ市長と決選に臨んだ場合、一〇%の差をつけて当選する可能性があると発表した。下馬評で色々噂される中、しばらくの時間を置いて調査は行われた。政治危機で去就が危ぶまれた現大統領の続投は、時間の経過とともに失地回復の兆候が見えてきた。CNTの十一月調査ではサンパウロ市長が四一・五%、大統領が三七・六%であった。現大統領の個人的評価と政治能力の評価も回復し、否定的評価は減少した。
朗報は労働者党(PT)創立二十六周年式典へのはなむけとして歓喜と感涙で迎えられた。大統領は試行錯誤と葛藤で悶々とした後、ようやくトンネルの出口に近づいたらしい。全てのシミュレーションで、大統領はトップに出た。
セーラサンパウロ市長と決選に臨んだ場合、ルーラ四七・六%に対しセーラ三七・六%となった。三カ月の熟成期間を置いた調査だが、その間に大統領は一三・九%上げ、サンパウロ市長は三・九%下げた。十一月以降大統領はライバルの尻馬票を取り込んだばかりでなく、無党派票も集めた。
十一月調査では、無党派票を六〇・二%と見ていた。今回は無党派票が、五〇・四%に減った。ここから大統領は一〇・六%拾い、サンパウロ市長は二・八%しか取れなかった。これは、PTに愛想を尽かした支持者の復帰と思われる。
今回の調査結果をブラジル社会民主党(PSDB)は、不可解としている。PSDBは、大統領選への党公認人選でモタモタしていた。またセーラ氏のサンパウロ市長辞任が、このような調査結果を突きつけられたことで出鼻を挫かれた感がある。どのシミュレーションでも大統領の後塵を拝していることで、PSDB候補の脆さも露見した。
さらに有権者の五九・四%が、セーラ氏の市長辞任は同氏の支持率に影響がないと答えており、無関心振りが気になる。大統領の非支持率が、三九・三%から三五・八%へ減少したのも特記に値する。サンパウロ市長の非支持率は三八・七%から四一・七%へ増えた。
調査結果から伺えることは、裏金スキャンダルが有権者の喉元を過ぎつつあることだ。しかし、調査結果が本番に向けて何かを決めるわけではない。ブラジルの政界は一寸先が闇で、大勢の予測が一晩でもひっくり返るのだ。
議会調査委員会(CPI)が終盤に入り、政府が広報戦略に集中したことが功を奏したようだ。大統領の政治能力と個人的評価は、全国の全ての所得層、学歴層、年齢層、都市農村、男女双方で好転した。しかし、政治危機以前の状態に回復してはいない。
有権者は、ブラジルの経済情勢に満足しているらしい。所得の向上や先行きの楽観的見通し、恒久財の購入で、有権者は前回調査より前向きである。医療制度や教育行政、貧困対策、治安対策でも現政権を評価している。最低賃金三五〇レアルには五七・七%が不満を訴え、景気の刺激にならないと否定的である。