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為替制度の抜本的見直しを=開発相、ドル安傾向を懸念=現行はドル不足時代の遺物

2006年2月16日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】フルラン産業開発相は十四日、ドル安傾向に拍車がかかっているのに一向に対策が打たれないことを受けて、現行の為替制度を抜本的に見直して改善する必要があるとの考えを強調した。その上で、現行の為替制度は六十年から七十年前のいわゆるドル不足にあえいでいた時代の遺物だと指摘し、「近代化」すべきだとの見解を示した。
 それには実際に輸出を手がけて辛酸をなめ、裏の裏まで知り尽くしている企業主導型が望ましいとの立場を明らかにした。開発相はサンパウロ州工業連盟や貿易センター財団などが建設的な意見を提案しており、政府は真剣に耳を傾けるべきだと主張している。
 一例として、輸出代金と海外債権を為替取組をせずに一部相殺することでドルのダブつきを抑制してドル安を回避できることなどを提案している。
 また、最近著しい躍進を遂げて来年は二〇〇〇億ドルの輸出が期待される情報サービスおよび通信機器業界は先進国並みの「近代的契約」を締結しており、世界の時流に乗り遅れないためにこれを模倣して広く浸透させるべきだと説いた。
 一方で二月(実働九日間)に入って輸出はわずか八%の伸びに対し、輸入が一八%伸びて過去三年間で始めて入超の貿易赤字となった。
 これに対し開発相は、見通しについて時期尚早かも知れぬが、輸出の先行不安の前兆ととれるとした上で、企業では利益が減少するどころか赤字ではき出し輸出をしている先もあり、輸出のダイナミズムが失われていることは事実だとの認識を強調した。
 さらに輸入の増加についてはマクロ経済の成長で国内需要が伸長しているための供給であれば歓迎するが、ドル安による投機筋によるものだと国内産業に影響を及ぼす事態になるので問題だとしている。
 また、十四日の外為相場が一ドル二・一三レアルで取引を終えて過去五年間の最安値の記録を更新したことを受けて開発相は、さらにドル安に拍車がかかるとの見方をしている。外国投資に免税措置を打ち出したことでドルが流入しているのが原因で、海外投資に門戸を開放するのは近代政策だとしながらも、反面為替への影響を考えないのは片手落ちだと批判している。